【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
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756: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/08/25(水) 16:24:02.45 ID:+hM7VL0K0
時間ができたのでもういっちょスーパー・ショート・ショートをば

―――


「蹄鉄よし、勝負服、よし……!」


 かるくつま先を叩いて、スペシャルウィークは立ち上がる。

 控室から少し歩けば、そこには客の喊声渦巻く中山競馬場のパドックが広がっていた。

 ……有馬記念。スペシャルウィークはあれから血のにじむような努力を重ねて、大舞台に立っていた。


――”トレーナーなしで有馬まで上り詰めた超有望株”。


 それが今のスペシャルウィークの評価。本人は事あるごとに否定するので、謙虚で実力もあるウマ娘として人気を博していた。

 だが、それは真実ではない。――彼女にも、トレーナーがいる。

 ただ、今ここにはいないというだけだ。今もトレーナーは自分のことをきちんと見てくれている。

 ”一緒に日本一を目指さないか”と、スペシャルウィークに声を掛けたトレーナーが、私の晴れ舞台を見ていないわけがない。

 スペシャルウィークはもう三年も経つというのに、トレーナーのことを忘れず、信じていた。


「……トレーナーさん。私、絶対に勝って勝って、日本一になりますから――!」


 ゲートについて、駆け出す準備。両隣のウマ娘も――確かに、名だたる強者。

 でも、とスペシャルウィークは思う。

 どれだけ強くたって、負けるわけにはいかない。もう負けたくない。

 あの日、トレーナーが消えた日、スペシャルウィークは強く誓ったのだ。


「絶対に、負けない」


 ゲートが開かれ、体は風をまとって前へ進む。

 ブルネットの髪が流れ、姿勢は前傾。序中盤は脚を溜めて。

 終盤で、解く。

 爆発的な加速を見せたスペシャルウィークは、他のウマ娘をごぼう抜きし、一気に先頭集団に躍り出る。


――それは、まさしく星の如き加速だった。


 全てを過去に置き去るようなレースの結果は、もはや第四コーナーから最終直線に入った時点で明白だった。

 後悔や絶望を振り払う走りは、その先に誰の背中も写さない。

 夢や希望は、誰かのを追うモノじゃないから、もう背中は見ない。


「――トレーナーさんッ!」


 声高に、叫ぶ。トレーナーがどこにいても、彼女のことを見つけられるほどに。


「私、どこにいてもトレーナーさんが見つけられるくらいに輝きますから!」


 だから。


「いつかまた、会いに来てください……! 私にいつか、あの時のお礼をさせてください!!」


――いつかまた、会いましょう。絶対に!




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