【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
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◆FaqptSLluw
[sage saga]
2021/08/23(月) 22:56:05.01 ID:9tDKi9xF0
どこまでも小さな体を抱き寄せる。
砂ぼこりの匂いと、ターフの青臭い匂い。あと、いつもの――甘めの柑橘系の香り。強く感じられるそれを噛み締めながら、頭をもう一つ撫でる。
小さな、小さな嗚咽が一つ上がった。つられそうになって、俺は唇を噛んで……誤魔化すように、抱き締める力を強くした。
「離ればなれなんてイヤだよ……! どうして、どうして……マヤはただ、トレーナーちゃんが居れば、それだけでいいのに……」
「……ああ」
「いかないで、トレーナーちゃん……」
ぎゅ、と。胸に添えられた手が、シャツをつかまえる。
胸にあてられた表情は見えない。でも……幽かに伝わってくるのは、マヤノが零した涙の温かさ。
いかないで、と呟くその声はあまりにも細くて、震えていて。
「……ごめんな」
「――っ! ちがう、ちがうの……。トレーナーちゃんに謝ってほしい訳じゃないの……」
「……ありがとう。俺と一緒に居てくれて。俺と共に歩んでくれて」
その言葉は、俺にとって決別の言葉だった。
時間は有限で、時は光のように止まることはない。
足の先が消えて、それは時間と共に俺の存在をこの世界から消そうとしている。
もう立つことは出来ない。だから俺はソファに座ることを選んだ。
それに、ここじゃないと……俺は、約束を果たせない。
……マヤノ。君は凄く賢くて、人の機微を汲み取るのがうまい子だ。
だけど、せめて今だけは……今だけは、その目を曇らせてくれ。
口の端から流れる血に、気付かないでくれ。
振り絞るように、俺は笑顔を浮かべて、マヤノの瞼を閉じる。
「……春のレースの時に、言っただろ。膝枕させてほしいって」
「……覚えててくれたんだ」
「勿論。マヤノの言葉なら99%覚えてるっていっただろ?」
俺がそう言えば、マヤノは小さく「そっか」と呟く。
「でも、その約束は果たせそうにない。少しでも動いたら、もっと早く崩壊が進んでしまうかもしれないからな」
「……! トレーナーちゃん、足が……」
「ああ。見ての通り俺は動けない。……だから、だから別の形でいいだろうか」
そう提案するが、我ながら酷い提案だ。
もうできないものを「やれ」といえる人は少ない。
まして、マヤノみたいな優しい子なら。
案の定、マヤノはこくりと頷いた。
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