【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
1- 20
572: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/08/22(日) 00:10:28.61 ID:vgHh+TpX0

「そういえばトレーナーちゃん、さっきベッドの下に落ちてたけど……これ、何?」
「……これは、何かの本……か?」


 一瞬、判断に迷った。

 ボロボロに朽ちているそれは、形状からしてみれば本だ。ただ、あまりに朽ちていて、本であるという事以外は何もわからない。表題も、そもそもどのような本なのかすらもわからない。

 試しに頁をめくってみると、その僅かな振動でページが砕ける。……それほどまでに朽ちている本が、何故自室にあるのだろうか。前までこの部屋を利用していたトレーナーの私物だろうか。

 不思議に思いつつも、これ以上触れば崩れてしまいそうなので……とりあえずはテーブルに置いておく。


「俺のものじゃないから、多分前にこの部屋を使っていたトレーナーのものなんじゃないかな」
「へぇ〜……。なんでベッドの下にあったんだろうね?」
「眠るときとかに読み返してたとか? 棚にあったとかならまだしも、ベッドの下にあったってことは、普段使いするものだろうし」


 ……例えば、日記とか。

 喉元まで出かけた言葉は、何故か声に出せなかった。……声に出せないと言うか、出してはいけない気がした。

 一瞬ひやりと、何かが背筋を撫でるような感触に襲われる。何か恐ろしいものに触れそうな気がして、俺は無理やり話題を変える。


「紅茶が冷める前に食べようか」
「え? あ、うん」


 ケーキの皿にフォークを乗せて、紅茶を注ぐ。

 用意していた紅茶は安物だったけれど、それでもケーキと合わさればとても高級なものに思えてくる。ましてそれが、マヤノと一緒のものであれば。

 幸せだな、と思う。霧が晴れるみたいに。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/577.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice