【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
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276: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/08/07(土) 16:01:18.92 ID:LizPTLal0
「待ってくれないか、ナリタブライアン」
「……何か用か?」
「ああ、マヤノについてだ……」
「……聞こう」


 ナリタブライアンはもう一度踵を返し、ソファーへと腰かける。トレーナーはそんなナリタブライアンのことを一瞬見て、自身も腰を落ち着けた。


「さて、何から話そうか――」
「前置きは要らない。今お前が話そうとしているのは――マヤノトップガン、アイツの腑抜け顔の原因か?」


 ぴくり、と。トレーナーの眉が動く。

 些細な感情の動きが表に出れば、ナリタブライアンはそれを見逃すことはない。


「――やっぱりお前か」
「……ああ、そうだ」
「単刀直入に言う。――アイツの腑抜け顔をどうにかしろ」


 鋭い刃の如く、トレーナーへと突き立てられる言葉たち。

 述べられる言葉の羅列に、トレーナーはナリタブライアンの怒りを感じ取る。

 その怒りが言葉の端から香るにつれ、ナリタブライアンの表情は鬼気迫るものとなっていた。

 ……怒っている理由は、もはや明白だった。


「……君にとって、マヤノはどういう存在だった?」
「――どういう存在でもない。ただ、レースで競り合うウマ娘があんな様子じゃ、気にならないほうがおかしいだろ」


 確かにそうだ、とトレーナーは思った。

 ナリタブライアンほどのウマ娘になってなお、対策とは無視できないほどの効果を発揮する。特に有馬記念に出走するほどの、強力なウマ娘であればなおさら。

 ……だが、あくまでそれは建前の一つでしかない。トレーナーはなんとなく、そう感じた。

 言葉にすることはない。ただ、トレーナーは含みがあるような視線でナリタブライアンを貫いた。

 しばらく二者の視線が交錯し、火花を散らし。

 やがて折れたのは、トレーナーの方だった。


「……残念だけど、俺の力じゃ、マヤノを元に戻すことは出来ない」
「なんだと?」
「深い、深い事情がある。君にも安易に話せないくらいの事情が」
「……だったら、アイツはどうやったら戻る」


 その言葉に、トレーナーは考えこむ。

 マヤノトップガン、彼女は恐らく今考えている。自身の目的について、自身のあり方について――。

 そこに介在できるものなど、誰もいない。……少なくとも、自身は出来ないことを痛感していた。

 故に答えは。


「わからない」
「……それでもトレーナーか?」
「そうありたい、とは思ってるよ」


 トレーナーのその答えに、ナリタブライアンは静かな瞳で返した。

 まるですべてを見通すかのような透明な瞳は、トレーナーを見て――そして外を見る。


「……邪魔したな」
「今の答えで満足だった?」
「……さぁな」


 それだけを言い残して部屋を去るナリタブライアン。

 その瞳に、その心に、一体なにがあるのか。

 トレーナーには終ぞ見通すことは出来なかった。


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