【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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50: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/08/12(木) 00:48:05.81 ID:kMKUzmCb0

「で、何がダメなんだよ」
「うぅ……。実は、今週末、みんなと遊園地に行くことになったんデース」
「ほう、みんなと言うと――スぺちゃんたち?」
「ハイ! みんなのスケジュールが空いたこの時期に行くことになりました!」


 なるほど、確かにこれからレースが本格化するにつれて、取れる時間は少なくなっていくからな。

 特にエルをはじめとして、スペシャルウィークやセイウンスカイ、グラスワンダー、キングヘイロー……彼女らへの期待は凄まじく、それなりの結果が望まれている。

 それに、それぞれに目標があって、達成するためにはかなりの努力が必要になる。

 だからこそ、遊べるうちに、という事だろう。


「ふむ、楽しんで来るといいじゃないか。なにが駄目なんだ?」
「ケ?! それは……」


 ごにょごにょと小さくつぶやくエル。マスクをつけているのに、まるでマスクをつけてないときみたいに弱気だ。

 
「……笑わないで、聞いてくれますか……」
「ああ」
「実はエル……オバケが駄目なんデース!」


 その言葉に、俺は思わず「はぁ」と気の抜けた息を漏らしてしまった。

 なるほど、つまり――遊園地に行くのは楽しみだが、お化け屋敷に行くのは勘弁だ、という事かな。

 あの面子であればお化け屋敷に行く確率は低くないだろう。であればこそ、エルは恐怖しているというわけで。


「頑張れ」
「他に何かなかったんデスか?!」
「いや、こればっかりは個人の趣味嗜好だし」
「そんな〜……」


 とはいえ、びくびくしながら遊園地に向かうのもそれはそれで可哀そうだ。

 ここは一つ聞いてみるかな。


「なんでエルは幽霊が苦手なの?」
「……だって、物理技が効かないから」
「倒す前提なんだ」
「あくまで倒すとなった時の話デス! うぅ……」


 倒す倒さないの観点で恐怖を感じられると少し困る。

 怖いなら目を瞑っているといい。何かわからないなら自分の中で幽霊を定義付けるといい。

 でも幽霊を物理的に倒す方法なんてないからなぁ。


「……待てよ。そういえば、幽霊を倒す方法が一つあるぞ」
「ケ?! なんですかそれは!」
「怖がらないことだ」


 俺の言葉に「は?」とでも言いたげな冷えた視線を送ってくるエル。

 だが、この言葉には一定の説得力がある。なぜならば――。


「詳しくは知らないけど、日本の幽霊とは人間の恐れる心がないと生きていけないらしいぞ!」
「……つまり、エルが怖がらなければ?」
「幽霊は死ぬという事だ」


 気付きを得たらしく、耳と尻尾はぴんと張る。

 そして次の瞬間には、いつものエルが戻ってきていた。


「優勝、快勝、エル圧勝――ッ! 幽霊の正体此処に見たり――ッ!!!」
「……なんにせよ、元気になってよかった。お土産よろしくね」
「ハイ! 精一杯楽しんできマース!」


 楽しむのはいいけど、お土産もよろしくね。


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