790: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/16(日) 00:08:45.05 ID:PU+Tw3fzo
『メンバー』との戦いを終えた木原数多たちは後始末をしていた。
壁や天井がボロボロに崩れて廃墟とかした倉庫の中には、コンテナだったと思われる鉄屑やスクラップと化した高所作業車が棄てられたように転がっていた。
数多の周りには大勢の人影が集まっている。軍用のヘルメットに暗視ゴーグル、防弾チョッキといった装備を身に着けた風貌をしている者たちだ。
数多「さーてお前ら、面倒臭せぇお片付けの時間だ。三〇分以内に終わらせろ。じゃねーと殺す」
数多の無茶苦茶な指示に「はい」と一言だけ返事をして、装備を身に着けた者たちは間髪入れずに行動を開始した。
彼らは木原数多の経営するなんでも屋『従犬部隊』の従業員だ。
ほとんどが元々『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』という暗部組織に所属していた者たちなため、こういった裏の後始末といった仕事は下手な事務作業より慣れ親しんでいた。
作業を始めた従業員たちを背にし、数多は倉庫から出ていくように歩き始める。それに 付いていくように円周も数多の横へ付く。
円周「ねえねえ、数多おじちゃん?」
数多「あ?」
円周「打ち止めちゃんは大丈夫なの?」
円周は数多の背中の方を見ながら聞く。そこには打ち止めという少女がいた。
木原数多に背負われる形で、少女は体を背中に預けてすやすやとした感じで安らかな表情で眠っている。
数多「ああ。あのジジイがナノマシンの停止コードを持っていたから即座に治療できた。ニ、三時間もすればいつもどおりのうるせぇクソガキに戻るだろうよ」
円周「ふーん、なんでそんなもの持っていたんだろうねー」
数多「大方、このガキを人質として使うための交渉材料の一つとして用意してたんだろうよ。ま、俺からすりゃこのガキが死んだところでなんとも思わねえから、無駄な準備だったっつーことなんだけど」
円周「まーたおじちゃんがツンデレ発言しているよ。オッサンのツンデレほど見苦しいものはないよねー」
数多「言ってろ」
倉庫の出口を通り、二人は外に出た。
まだ日が昇っていない時間帯のため、街中は暗闇に包まれている。
円周がお腹を抑えながら、
円周「数多おじちゃんお腹すいた。朝ご飯はハンバーガー食べに行こうよ。マ○ク行こうマ○ク」
数多「あ? 別にいいけどよ。今から行ってもまだ開いてねえだろうし、開いたとしてもハンバーガー売ってねえだろ時間的に」
円周「うーん、世知辛い世の中だねー」
数多「その程度のことで世の中とか語ってんじゃねえよクソガキ」
今日の朝食について会話しながら歩いている二人がいる方向へ、走ってくる足音が一つあった。
深夜徘徊している老人にしては若々しい足取りだし、ジョギングしているにしては足音と足音の間隔が短い。
その足音が一〇メートルほど先にある建物の前で急に止まる。まるで捜しているものが見つかったかのように。
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