【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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980: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/21(水) 00:14:03.50 ID:lgWUywaw0

――サイレンススズカを一目見た瞬間、マヤノトップガンは驚きと共に恐怖を感じた。


 あまりにも高い壁。今の自分では到底到達できそうにない彼女の存在に、思わず身震いした。

 例えるならば月と鼈。本来であれば目の前に立つことすら許されないほどの、隔絶した力量差が此処に在る。

 でも。でも、とマヤノトップガンは心中で一人ごちる。


「負けられないんだから……!」


 絶対に負けたくない戦いがあるとすれば――それは此処に在る。





「勝ちたい、負けたくない――そんなんじゃ絶対に勝てないんだ」


 意思は強ければ強いほどいい、誰かがマヤノトップガンに言った。

 確かにその通りだ、とマヤノトップガンは思う。強く思えば思うほど、想いを遂げるために飛べる。

 そう信じて疑わなかった。――でも違った。

 大事なのはそれよりもっと上のもの――成し遂げようとする想い、つまり意志だった。

 ……夏合宿、外で眠ったあの日。ふと目を覚ましたマヤノトップガンはトレーナーの表情を覗き込んでいた。

 その表情は酷く穏やかだった。とてもループという運命を背負っているようには思えないほどに、穏やかな寝顔。

 以前はこうもいかなかったはずだ、とマヤノトップガンは思う。だから、この寝顔は――マヤノトップガンという存在がもたらしたものなのだと、深く、強く、自覚することができた。

 だから。


「負けない」


 仮に、ここで負けることが運命であるとするのならば。

 走れ。叫べ。

 駆ける乙女のレーゾンテートルは、たったのそれだけ。

 扉を開くには、たったそれだけがあれば、十分。


「勝つ」


 ターフを踏みつけて、目を閉じる。

 視界情報が消えて、音が残って。

 音もどこか遠くに消えて。

 この世界には己だけ。

 あまりに静かで。

 寒々しくて。

 でも熱くて。


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