【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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711:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/10(土) 23:25:16.35 ID:ya4cvXhh0
もうこうなったら学年とか気にしないほうがいいかもな、と思ったので今後は学年とかの隔たりは(ある程度は意識しますが)考えないことにしました。
二次創作なので、多少の違和感には目を瞑っていただけると幸いです。いやループ自体が違和感の塊ではあるんですけど。


―――

 ゲートが開かれ、まず飛び出したのはセイウンスカイだった。

 無二の逃げ脚は、蒼天に流れる雲のように滑らかに、それが当然であるかのように後続との距離を離していく。

 辣腕を振るうターフの奇術師は、その変幻自在のステップと作戦で他のウマ娘を翻弄する。中盤に差し掛かる頃には、後続とのバ身は8ほど開いており、彼女の逃げこそこの場を支配する法則であると認識する客もいた。

 だが、観客の大半はそのように考えてはいない。彼女の逃げ足は素晴らしいものだが――風は、光には追い付けない。


(たはー……。冗談キツいなぁ……)


 一瞬振り返った瞬間、”そうしなければよかった”とセイウンスカイの脳裏は埋め尽くされた。

 平静を保つ振りをするが、しかし脚の回転は速くなり、息も上がる。

 四対の視線――マヤノトップガンとナイスネイチャの視線は確かに恐ろしい。だがそれよりも――怜悧で、残酷な視線が彼女の心臓を鷲掴みにする。


(逃げられ……ないか)

 
 思わずそう判断してしまうほどの、圧倒的な存在感――威圧感がそこにある。

 ここがレース場でなければ跪いてしまいそうなほどの、征服者としての威圧が。

 第四コーナーに差し掛かり、スパートをかける頃合い。セイウンスカイは逃げ切ろうと脚の回転数を上げる。が、同時に自信が差し切られてしまうことを、その賢さゆえに理解してしまっていた。

 知能ある生物の最大の弱点は、恐怖である――。辣腕を振るうターフの奇術師だからこそ、その存在があまりに甚大であることを疾く理解してしまった。


(……あの二人が、果たしてあの”皇帝”陛下の差し脚に追いつけますかねぇ)


 ふと過った夕陽を混ぜ込んだようなオレンジと、払暁を漉きこんだような赤茶色。

 青空のような自分とは少し違うが、しかしそれだけの魅力を持った2人が、あの皇帝に勝利する姿を目に浮かべて。


(……いけませんなぁ。勝負は終るまで――何があるかわからないんだから……!)


 ゴールの先で待つ割れんばかりの声援を譲るわけにはいかない、と。全身全霊をかけての先頭争いに身を投じた――。


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