【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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いぬ
◆FaqptSLluw
[sage saga]
2021/06/12(土) 02:40:41.05 ID:ICXtl3UQ0
――大丈夫。
僕はその言葉の無意味さをよく知った。
――勝てるさ。
僕はその言葉の無責任さをよく知った。
ああ、よく思い知ったさ。
だから、だから――思い知ったから。
目の前で走っているあの子だけは、どうか救ってくれよ、三女神様――ッ!
――――――
パドックに入り、スペシャルウィークは周囲をまず見渡した。
ウマ娘にそのような器官があるわけではないが、なんとなく戦うウマ娘がどれくらいの力量を持つか、理解することができる。
だからこそ、スペシャルウィークは少しだけ拍子抜けした。
――ここには、"みんな"みたいに強い子はいない。
理性では異なるとわかっていても、しかし本能があまりに高らかにスペシャルウィークの脳裏に事実を焼き付ける。
此処に居るのは、スペシャルウィークよりも格下のウマ娘たち。ふと脳裏に、よほどのことが無ければ勝てる、と励ましたトレーナーの言葉が過る。
確かに、勝てるのではないか――。そう思うことは、もはや致し方のない帰結だった。だが同時に、その思い込みこそが、彼女の脚を破滅へと追いやる。
きっかけは些細なことだった。
無意識下で油断していたから、ゲートから出遅れた。
たったそれだけのことだった。これであれば、まだ巻き返せる。気を入れなおせば。
スペシャルウィークがそう思った直後だった。
――スペシャルウィークもそうだが、君たちの世代には有力なウマ娘が多数在籍している。エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイロー、グラスワンダー……。いずれも名だたる名馬だ。
――そんな環境下だから、君たちは注意すべき存在となる。つまり、君たちはブロックされやすくなる――。道理としてはこうなるが、わかるか?
はい、と答えたはずだった。もちろん、スペシャルウィークとてトレーナーの言葉を忘れるはずもなかった。――だが、既に賽は投げられていたのだ。
スペシャルウィークの出遅れを察知したウマ娘が、途端にスペシャルウィークの周囲を囲う。――ブロックだ。
彼女らよりもスペシャルウィークのパワーは勝っていたが、しかし戦いは数であるというように、彼女たちは数の力でスペシャルウィークを完封した。抜け出せない。
どうして、という声が脳内でリフレインした。
次第に息が切れ、差すことも不可能なほどに足が重くなり、全身が鉛になったかのような重い倦怠感がのしかかる。
ブロックしていたウマ娘も、スペシャルウィークのスタミナが完全に切れたことを察知し、ペースを上げて離脱している。スペシャルウィークは、今此処でレースをしている状態であるのにも関わらず。
――孤独だった。
そう理解した瞬間、恐怖した。負けてしまうことに?
……否、置いていかれることに。
黄金の世代とまで呼ばれるスペシャルウィークの世代。彼女も見劣りはしないものの――しかし、現に今おいていかれている。
レースにも。そして――"みんな"にも。
息が重い。
肺から血の香りが昇ってきて、鼻腔に満ちてくらくらする。
足が重い。動かない。
先ほどまではターフの先を映していた瞳は、白んで何も捉えていない。
少しだけ動く耳だけが、誰かが叫ぶ声を感じとる。
でも、何を言っているのかわからない。
ああ、きっと応援してくれているんだな。――そう思うが、スペシャルウィークの心はもはや動かない。
――日本一になれなどしない。
――私は、スズカさんにみたいには、なれない。
輝かんばかりのステージでセンターを飾る、憧れのウマ娘のように、私はなることができない。
できない、出来ない。できないできないできない、できないできない出来ない出来ない――。不可能だ。無理だ。難しいのだ。これこそが否定と――拒絶の念だった。
もうやめてしまいたい。
スペシャルウィークは、そう思う他、何もできなかった――。
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