【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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24:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/09(水) 01:53:09.46 ID:cq4jTXCQ0

トレーナー(そうだ、G1に行こう)

トレーナー「そうだ、G1に行こう」

スペ「トレーナーさん?!」

トレーナー「G1だよG1、スペシャルウィークもわかるだろ?」

スペ「それはまぁわかります……けど、唐突ですね?!」

トレーナー「あのな、こういう時に使える日本語があるんだ」

スペ「……それは?」

トレーナー「百聞は一見に如かず! さぁ行くぞ!」

―――

 四月後半、一帖の盾を巡って有力なウマ娘が集うレース。
 名をば天皇賞。3000mにも及ぶ長大なコースを、足自慢のウマ娘が駆け抜ける、日本最高峰と呼び声高いレースだ。
 当然ながらウマ娘のレベルも非常に高い。何せ競馬に触れたことがない一般人ですら名前を知っている名馬がそろい踏みで出てくるレースである。低い訳がない。
 だからこそトレーナーはスペシャルウィークを連れてきた。
 百聞は一見に如かず。だが、一見でもビデオ越しと生では大きく異なる。
 その一つが、今二人の頭上から降り注いだ、割れんばかりの声援。
 まるで轟雷。さながら大地の奏でる旋律。ともすれば応援している人間が燃え上がってしまうほどの、壊滅的な熱量。

 人を熱くさせる戦い――否、人を狂わせる戦いのそれを、スペシャルウィークはただただ呆然と見つめていた。
 そして、今自分が立っている場所に気付いて、思わず深い安堵の息を吐いた。
 天皇賞という文字は、ウマ娘にとって非常に重い。だが、その文字以上に――埋め尽くさんばかりの人、そして人々が寄せる期待。

――まさに、重圧(プレッシャー)。

 スペシャルウィークはその渦中に自らがいないことを、今は幸運にしか思えなかった。
 いずれ立つ舞台なのだろう。いずれは走らなければならない馬場なのだろう。そう考えると、スペシャルウィークの体はいやに寒くなり、震える。

―――

トレーナー(雰囲気に気圧されてるな。やはりG1は違う)

トレーナー(最高峰のレースだ。そのどれもが出場するウマ娘にとって名誉であり、誇りであり――同時に重圧だ)

トレーナー(ビデオで見るだけでは伝わらない。それが馬場の持つ雰囲気やこの熱量。だからこそ一度味わってほしかった)

トレーナー「スペシャルウィーク」

スペ「……」

トレーナー「スペシャルウィーク?」

スペ「……あの、トレーナーさん」

トレーナー「……なんだ?」

スペ「……此処に、将来立つかもしれないんですよね」

トレーナー「……。ああ」

スペ「…………そっかぁ」

スペ「……今、私――凄く震えてる」

スペ「これが恐怖……? いや、違う……。これはきっと、多分……」

―――

 声をさえぎるように、ファンファーレが鳴り響く。
 最後に呟いた言葉が何か、トレーナーにはわからない。
 だが、その目に宿る熱量が、その発言が決してネガティブなものではないことを物語っている。
 トレーナーは小さく安堵の息をつき、スペシャルウィークを席へといざなう。
 パドックでは既に各ウマ娘が思い思いの行動に移っている。

―――

スペ(……あの人、あの人の走りが見たい――)

―――

 スペシャルウィークは、星に導かれた光のように、>>26 から目が離せなかった。



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