【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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218:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/21(月) 02:40:23.33 ID:JAakaxgy0
――影をも恐れぬ怪物。

 その名はターフ上全てのウマ娘を恐怖に陥れる、言わば絶対的強者の証であると言えた。

 圧倒的な強さで重賞レースを勝ち上がり、大外から駆け上がるさまは、宛ら夜に向かう夕陽が残す影。

 そうして築き上げた最強の伝説は、今も尚更新されようとしている。G1という最高の舞台ですらも、彼女にしてみれば踏み台でしかないのかもしれない。

 であるからこそ、観客は彼女の驚異的な末脚を――絶対的な勝利を望み、喊声を上げる。観客は彼女を淘汰するウマ娘を望み、喚声を上げるのだ。

―――

マヤノ「ナリタ、ブライアン――」

マヤノ「……強い。今まで見てきたどんな子より、ブライアンさんは強い……!」

マヤノ「でもなんだろう――すごく、すごく寂しいの」

マヤノ「ねぇトレーナーちゃん、どうしてだろう?」

トレーナー(……マヤノトップガンの洞察力は凄まじい。時には覆い隠された秘密ですら解き明かすほどの優れた観察眼が彼女には備わっている)

トレーナー(そんな彼女がそういうんだ。きっとナリタブライアンには何かあって――それをマヤノトップガンは敏感に感じとっている)

トレーナー(それに、なんというか――俺もすごく、すごく彼女が危ういと感じる。どこかで感じた既視感がある)

トレーナー「……。わからない。でも、彼女の走りを見れば分かるかもしれない」

マヤノ「……うん、そうだね」

―――

 ナレーションが高らかに響き、パドックに居たウマ娘が続々とゲートインする。
? いずれも名だたる名馬だ。ゲートインするだけでも大きな歓声が上がり、拍手が響くものだが――今日は違った。

 ナリタブライアンの存在が、全てのウマ娘の存在を希釈するようにそこに在る。

 闘志などなく、そこにあるのは凪いだ水面のような、どこまでも透き通る怜悧さだ。
? レースに向けて神経を集中させるウマ娘。彼女らの調子に乗せられるように、観客もまた、水を打ったように静まり返る。
? 数秒。息遣いしか聞こえてこない静寂。

――そして、爆発。
? ゲートが開かれ、せき止められた水のように一斉にウマ娘が駆け出していく。 ??

―――

トレーナー「君は何を考えている、ブライアン……」


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