【安価コンマ】貴方は世界を巡るようです 12巡目
↓ 1- 覧 板 20
26: ◆Nq0wl2Ysns[saga]
2021/06/03(木) 03:17:43.37 ID:V9X1MDUv0
ジーク「……はっ!」
――その瞬間。俺は自分の世界から戻ることが出来た。危ない、もう少し遅かったらもっと深いところまで潜ってしまうところだった。
ここは王国では珍しく原形を留めている小さな喫茶店。俺と向かいに座っている長い髪の男アベルはそこでコーヒーを飲んでいる最中だった。
アベル「……また自分の世界に潜っていたのか。お前は昔から何も変わらないな」
ジーク「あっはっは、いやぁ申し訳ないねアベル。ちょっと今日はハーピーについて考えてしまって」
アベル「…………」
ハーピー、という言葉を聞くと彼は分かりやす過ぎるくらいに顔を顰めた。俺を信じられないものを見るような目で見つめながらコーヒーを啜ると、その顰めて顔は少し柔らかくなった。
アベル「俺としては、お前のその思想を改めて欲しいんだがな」
ジーク「あっはっは、いやぁアベルの頼みといってもそれは無理かな! なんてったって俺は異種族大好きマンだから!」
そしてお前は異種族大嫌いマン! うーん、絶対に相容れないな!
毎回毎回アベルと話すたびに思う、よくもまあこんな正反対な奴と友達をやれているなと!
アベル「お前は人間だからな、別に断罪をするつもりはない――もしお前が人間を止めてそちらサイドに堕ちるというのなら、俺は容赦なくお前を切り裂くが」
ジーク「異種族になれるなら異種族になりたいけど流石にお前に切り裂かれるのは嫌だな!」
アベル「……俺もそう思うよ」
また一口コーヒーカップに口を付ける。これで合計6杯目だがまだまだその手は止まらない。
ジーク「おおっと、流石にそろそろ城に行かないと不味くないかアベル。もうコーヒーに手を付けるのは止めておけな」
アベル「むっ……」
丁度七杯目のおかわりをしようとしたところで俺が言うと、アベルは少し残念そうに空になったカップをテーブルの上に置いた。
こいつ本当にコーヒーが好きだな……このカフェイン中毒め!
1002Res/385.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20