19:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:29:34.56 ID:VDGJuTNc0
あの人たちの前では、いつまでも子供だった私。それが嫌だった頃もあった。いつまで経っても自分一人だけが、かっこいいあの人たちに追いつけない。そんな風に思っていた頃もあった。けれど、今はあの頃のようにもう一度と願わずにはいられない。『おばあちゃん』としてよりも、『小宮果穂』としての方がきっとこの子の背中を押せるから…だから、『私』はほんの一瞬『アタシ』に戻る。
20:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:30:33.52 ID:VDGJuTNc0
「おばあちゃん…」
「んー?」
「…なんだか眠たそうなんだけど…」
21:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:31:48.82 ID:VDGJuTNc0
「…アタシ、帰る。帰ってお兄ちゃんと仲直りしてくるよ」
「…えらいねぇ」
いつだったか、自分も兄との喧嘩を美しいあの人に相談したことを思い出す。本当に何から何までそっくりだ。
22:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:32:53.12 ID:VDGJuTNc0
「おばあちゃん、今日はありがとう!!!」
風邪ひいちゃうから、お布団で寝てねと声をかけてくれる優しい孫に、一言だけ添える。
「遅すぎることも…早すぎることもないの…いつだって、貴女が思ったその時が…クライマックスだからね…」
23:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:33:59.40 ID:VDGJuTNc0
少し首を傾げながらも、わかったと言って我が家を後にする彼女を見送ってから、意識を少しずつ手放していく。
『立派で…ございました…』
「凛世さん…」
24:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:35:04.57 ID:VDGJuTNc0
『背筋が伸びているわ!流石は果穂ね!』
「夏葉さん…」
『果穂ぉぉぉお!!早すぎるよぉぉぉぉお!!でも会えて嬉しいぃぃぃぃい!!』
25:名無しNIPPER
2021/05/23(日) 11:59:01.02 ID:VDGJuTNc0
『さあ、行こう果穂』
「…はい!!!」
駆け寄ってきたマメ丸と一緒に走り出す。この人たちの前ではいつだって、私はあの頃に戻れるのだ。
26:名無しNIPPER[sage]
2021/05/23(日) 13:46:29.59 ID:yVLOTdSFo
おつあつ
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