【シャニマス 】果穂(16)「普通って、なんですか?」
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38:名無しNIPPER
2021/05/17(月) 17:44:27.02 ID:/6+K4mbv0
 凛世さんは元から特別だ。それは自他ともに認められていることだし、凛世さんはそれを武器にしている。
 気にしている様子もあるけど、それを受け入れてもらえてるし、現に今日もその凛世さんの「特別」が撮りたくて、お仕事ももらっている。あたしは凛世さんの隣にいただけだ。
 凛世さんと比べたら、自分はなんて普通なんだろう。さっきまで自分が特別で、普通のことを何も知れないなんて傲慢なことを考えていたけど、案外自分みたいな人間は、特別でもなんでもないのかもしれない。
 特別であることを自覚すること、普通であると言い聞かせること、どっちが正しいのだろう。
 凛世さんがすっと障子を開く。暗い広縁に、薄青い月明かりが差し込んだ。

「開けるだけで、明るい部屋になりましたね」
「ええ……今宵はずいぶんと……月が……」
「綺麗ですね?」
「ふふ……」

 残りのアイスを頬張ると、さっきよりもずいぶん食べやすくなっていた。柔らかいし、ちょっとぬるくなってる。
 でもちょっと背中が冷える気がして、でもまだ寝る気にはなれなくて、壁にかけてある寝巻き用の上着を肩に羽織った。

「凛世さんも上着、いりますか?」
「はい……では」

 夏の真ん中でも、夜の山奥は冷える。

「ありがとう……ございます」

 月明かりに照らされる凛世さんの顔は、お化粧をしてないのに綺麗で、特別だな、と思った。綺麗ですね、とあたしが言うと、凛世さんはにこりと目を細めた。
 その当たり前を持ち続けて欲しい。誰かの言葉をふと思い出した。


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