【シャニマス 】果穂(16)「普通って、なんですか?」
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28:名無しNIPPER
2021/05/15(土) 23:21:06.14 ID:yf00dqmI0
 台本はあるにはあるけど、途中の会話は基本的にアドリブで任されている。

「地元はどこでしたっけ?」
 鳥取だったと思う。
「鳥取で……こざいます」
「鳥取かぁ……釣りできる川とかあったんですか?」
「えぇ……鮎の……手掴みなども……」
「鮎を手掴みですかっ?」

 ちょっと想像してみて、凛世さんなら案外上手に捕まえそうだな、と思った。
 凛世さんはそういうところでは、顔色ひとつ変えずに誰よりも必死になるところがある。放クラ5人で遊んでいた頃もそうで、夏葉さんが提案する無茶に真っ先に飛び込んでいたのは凛世さんだった気がする。今となってはもう、あやふやな思い出だけど。
 その後はのんびりと凛世さんが話をしてくれて、あたしがそれに相槌を打ったり、たまに質問したりして、決まった時間が過ぎたらスタッフさんが合図が来た。
 やっぱり杜野さんは喋るだけで面白いから助かります、と気さくなスタッフさんが話しかけてきて、凛世さんがうふふと喜んでいた。
 あたしはそれを聞いてなんだか誇らしくなった気がして、こめかみに浮かんだ汗を二の腕で拭った。涼しくても汗は流れる。

「じゃあ次は川下りの体験があるので、休憩を挟んだ後……」

 スタッフさんの指示に返事をしながら、凛世さんとあたしはまた河原を歩いた。荷物が多かったら車まで運ぼうかと思ったけど、魚は1匹も釣れなかったのでその必要はなかった。


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