【シャニマス 】果穂(16)「普通って、なんですか?」
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2:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:53:44.17 ID:97gKkE/X0
 プールの横の自動販売機で、いちごオレのボタンを押した。ガコン。暑い。夏休み直前の日差しはシャツの中まで蒸すような暑さで、日焼け止めを塗っていなかったら今頃どうなるのだろうと冷や汗が流れる。夏はドラマの撮影があるのに。

 同級生が使っているのよりも良い日焼け止めで肌を守っても、暑いものは暑い。ほんとは水の方がいいのだろうけど、甘いものを飲みたい気分だから今日は仕方ない。

 このあとダンスレッスンがある。この甘味の分は後から取り戻せばいい。一口含むと、炎天下の自販機で冷やされたいちごオレは口の中から身体を冷やしてくれた。ここだけ冷房が効いたみたい。罪悪感があるからか、あんまり甘くはなかった気がする。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:54:48.35 ID:97gKkE/X0
 スマホで時間を確認すると、待ち合わせの15分前だった。プロデューサーさんが来る前に、いつものコンビニに着いておきたい。
 高校に入ってすぐ、夏葉さんが車で迎えにきてくれたことがあった。当然、あんな目立つ車が高校に来たら高校生は大騒ぎになる。
 夏葉さんは慣れてるからか、ものともしてなかったけど、あたしはなんだか恥ずかしくて、助手席に乗りながら次からはコンビニにしてください、と言った。それ以降、事務所の人が高校に直接来ることはない。
 多分、それが普通の高校生だから。


4:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:56:10.89 ID:97gKkE/X0
「おつかれ果穂、水飲むか?」

 待ち合わせの5分前なのに、コンビニのいつもの場所に車は止めてあった。外からは中が覗けないようになってるけど、ナンバープレートで覚えてるからすぐ後部座席のドアを開ける。

「いいです。持ってるので」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:57:00.84 ID:97gKkE/X0
「暑いな、今日も」

 露骨に話題を作るプロデューサーさんを、このまま無視したらどうなるのかちょっと想像してみる。たぶん、自分で返事をしながら車を出すんだろうな。
 ちょっと前のあたしならすぐに返事をしてたと思うけど、最近はなんだか、ちょっとプロデューサーさんにムッとなることが多い。
 なんだか、距離感にムズムズするのだ。喉が渇いているのを当ててきたこともそうだし、
以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:58:05.30 ID:97gKkE/X0
 喉が渇いたのでいちごオレを飲もうとしたけど、プロデューサーさんに見られるのがなんだか嫌で、代わりにスマホを開いた。学級委員からクラスのグループに、明日の日課が送られてきている。すぐに画面を閉じる。

「じゃ、ちょっと早いけど行くか」
「はい」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:58:40.61 ID:97gKkE/X0
「果穂! 今日は早いのね!」

 少し遅れてレッスン室に入ってきた夏葉さんが、元気に声をかけてきた。

「はい、今日は短縮授業の日なので!」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 00:59:29.63 ID:97gKkE/X0
 レッスンが終わっても、まだ蝉は鳴いていた。人通りの少ない道を選んで事務所に向かいながら、夏葉さんとアイスを齧る。

「果穂はもうすぐ夏休みかしら?」
「そうです! でもその前に、お盆特番の収録で凛世さんとお泊まりロケがあります」
「羨ましいわね」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 01:00:12.56 ID:97gKkE/X0
 夏葉さんは大学を卒業したあたりから、あたしたちがお菓子を食べてても何も言わなくなっていた。むしろ、こうして一緒に食べることの方が多い。この時間も大切にしてくれているのかもしれない。

「夏葉さんは映画の撮影、どうですか?」
「順調よ! 昨日は1つ目の打ち上げがあったわ」

以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 01:00:42.66 ID:97gKkE/X0
 そう思うと、夏葉さんは成人したての時期にあまりお酒の場に顔を出さなかったということになる。凛世さんは、大学生になってすぐは新歓に呼ばれた話をよくしてくれていた。

「夏葉さんは」
「ん?」
「……夏葉さんは、普通の大学生活、送りたかったですか?」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2021/05/14(金) 01:01:18.33 ID:97gKkE/X0
「そうね、もちろんそこそこに充実はしていたけど、アイドルを始めてからはその機会は減ったわね」
「寂しかったり、しませんでしたか?」

 もともとがアイドルのあたしと違って、夏葉さんは途中からアイドルになったんだ。だったら、感じる差はもっと大きいのかもしれない。

以下略 AAS



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