16: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:18:06.97 ID:Pb5RWNl50
「洗脳される直前のコトハ総帥のマイティセーラーを認めるような発言。洗脳後も私に注がれる確かな信頼感。そしてただの駒であるはずの私に対してどこか優しさを感じる対応。これを愛と呼ばずに何と呼びますか!?」
「洗脳かな……?」
「志保、百合子の頬を引っ張れ」
「いや私は……、静香がやりなさいよ」
17: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:18:39.20 ID:Pb5RWNl50
「それで、琴葉さんのイケメンっぷりをどうやって磨いていくかという話ですけど、プロデューサーさんは何かプランがあるんですか」
「ちょい、ちょい待って、その話はまだ……」
ん?
18: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:19:22.57 ID:Pb5RWNl50
「そうだな、今まで王子様のような役柄が多かったから別のタイプのイケメンも練習してみるのはどうかな」
「えっ……!?」
「ハイ! それなら私、琴葉さんにやって欲しいシチュエーションがあります!」
19: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:20:05.07 ID:Pb5RWNl50
要約すると、以下のようになる。
「なるほど。世話焼きの年上幼馴染お兄ちゃんといったところか」
「理解が早くて助かります!」
20: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:21:11.82 ID:Pb5RWNl50
「えっと、百合子ちゃんが幼馴染っていうことで良いのかな……?」
「はい! 寝坊して家から飛び出した私を玄関前で待っていてください!」
「細かいな」
21: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:21:46.38 ID:Pb5RWNl50
「よっ」
ソファに座っていた静香と美咲ちゃんの背筋がビクッと伸びた。美咲ちゃんはいつの間にかソファに移動していた。アイドルみたいなもんだからいっか。
志保はというと「手を上げたりせずに、寄りかかっている壁から背中を浮かせるだけで待っていたことを表現しているのね。敢えて名前も呼ばないことで日常感や距離の近さも伝わってくる。流石琴葉さん……」と冷静に分析していた。どうした。
22: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:22:21.84 ID:Pb5RWNl50
「琴葉くん、待ってなくて良いって言ってるのに!」
「百合子と一緒に行かないと親がうるさいんだよ。ホラ、行くぞ」
「あ゛ぁ゛っっ!!!」
23: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:22:47.39 ID:Pb5RWNl50
「百合子さん、堕ちるの早くないですか!?」
「だって、だって。本当は好意を持っているのに素直になれなくて親を言い訳に少しでも一緒にいたい、ちょっとぶっきらぼうな幼馴染なんて、そんな、そんなの……」
理解が早い。学業でもその理解力を発揮してほしい。
24: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:23:34.81 ID:Pb5RWNl50
琴葉に「静香ちゃん、どうだったかな」と聞かれた静香が「あっ、うっ」と狼狽えている。この流れでいくと次のターゲットは静香だろうか。
心なしかいつもよりも顔が近いように見える。静香の顔がみるみる赤く染まっていく。
その様子を見て琴葉に何かのスイッチが入ったらしい。
ごく自然な所作で静香の方に手を乗せる琴葉。静香の細い肩が再びビクッと飛び上がる。
25: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:24:05.95 ID:Pb5RWNl50
「可愛いよ、静香」
「ひんっ」
頭からポシュウと何かを吹き出しながら静香がソファにズルズルと沈んでいった。
26: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/03/08(月) 00:25:06.71 ID:Pb5RWNl50
さて、そんな日常の平和を噛み締めたのも束の間。今度は志保から謎のオーラが燃え盛っていた。もう少し平穏を謳歌したいものだが、765プロというのはこういうものである。
ちなみに百合子と静香はダラリと身体を床もしくはソファに投げ出してピクリともしていない。いくつもの犠牲が積みあがった先に平和があるのだ。
「私はギャルをやります」
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