48:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:11:24.16 ID:j5Vg4AXZO
「向こうの世界にも、音楽ってあるのかな」
思い付いた疑問をポツリと僕は呟く。
「どうだろう」
演奏の手を止めて、彼女は答える。
「CDと一緒に置き去りにされたのかもね」
「だとしたら、向こうの世界は随分と無味乾燥だろうな」
「なんなら小説も映画も、娯楽作品は全部持っていき忘れてるもんね。
人間が作ったものには、
もう意味なんて見出だせなくなっちゃったのかもしれない」
「そんな退屈な世界なんて、こっちから願い下げだね」
「良いこと言うな少年、じゃあお前の歌を聴かせてやれよ。
空の上の天使どもに、魂の叫びってやつをさあ!」
「………………いつくしみ深き 友なるイエスはー」
「おい少年、このタイミングで賛美歌は絶対違うだろ。
こら、止めろ、カホンをロック調で遮二無二叩くんじゃない。
何だ急にボケ始めて、好きな音楽とかもないのか君には」
「GRAPEVINEとかよく聴くけど」
「じゃあそっちを歌いなよ!」
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