玉座の間にて
1- 20
5: ◆CItYBDS.l2
2021/02/02(火) 18:57:52.40 ID:acYUvXZS0

まずは、語らねばならぬ。
一族に伝わる、先の世の魔王と勇者の戦いを。

「私は、一番槍にして語り部。先代魔王の最期を、お伝えするべく御前におわす」

魔王は、私の口上にしばし前のめりとなった。

「人に滅ぼせられし、先の王。我は、気奴を惰弱であったとは到底思えぬ。それほどに、魔王の座は遠く果てなき頂きにあった。ぜひ、聞かせてくれ」

その御身姿に、私は改めて確信する。
新たな魔王は、かつての魔王より遥かに強いであろうことを。
既に、天下に並ぶもの無き力を携えながら、それでもなお先に学ぼうという姿勢。

今上の魔王は、傲りや慢心とは無縁。
なれば、かの王を打ち倒す隙など一寸ほどありはすまい。
魔王とは、そうあらねばならない。そうなくてはならない。
そのためだけに、我ら一族は語りを紡いできたのだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
52Res/33.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice