玉座の間にて
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34: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 09:55:09.24 ID:ewOe4rJE0

「おお、ばば様が剣を抜かれた」「よもや」「なんという勇気」「なんという胆力」

俄かに、声が上がる。

だが、俺は知っている。違う。みんな、誤解している。
我が祖母は、勇気をもって剣を抜いたわけでは無い。あの剣は、そもそも最初から抜かれていたのだ。


「この臆病者の一族め。これより、《勇者》の号は儂一人のもんぞ!」

祖母の一喝に、みな呪いが解けたように湧きたった。

一人また一人と、体に纏わりつく恐怖を打ち払い気勢を上げ剣を抜いていく。
その様子を、魔王は心底嬉しそうに、まるで子を慈しむ母であるかのように見守って
いた。


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