24:名無しNIPPER[saga]
2021/01/19(火) 00:01:01.33 ID:eY8lwSRJ0
指揮官「そして、みんなになにより徹底してほしいことは、今回の目的は戦闘ではなく情報収集だということだ。戦闘になったら、常に脱出ルートを意識して動いてくれ。見て分かる通り、機械生命体の数は段違いに多い。これらを潰すのは、次の作戦になる。…ルシア?」
ルシア「指揮官、一つ確認させてください」
指揮官「どうぞ」
ルシア「先月の件で、片腕を落とした私の身を案じていただけるのは光栄ですが、任務中はお控え願います。私は、替えの利く兵隊です。余計な気遣いは、任務に差し障ります」
指揮官「勿論、私はカバーできる範囲で仲間を守りつつ、任務達成に全力を注ぐ。ルシア、君はこれまで通り、隊の先鋒として動いてもらうつもりだ」
ルシア「ありがとうございます、指揮官。今度は絶対に、遅れをとることはありません。
―――指揮官。どうかもう一度、私を信じてください。」
ルシアの表情は、硬く強張っていた。今度は絶対に失敗できないという自分に課した縛りのせいだろうか、あまりにも純粋で、壊れてしまいそうに見える。
指揮官「…【もちろんだ】」
ルシア、君は本当にあの夢の中ででてくる昇格者とこんなにも違う。
真面目で、頑固で、冷静だけど、優しい。
私は怖いんだ。
あの昇格者と剣を切り結ぶたびに、どちらが本当の君かわからなくなる。
あの昇格者の酷薄な嗤いと、君の笑顔が重なる―――。
視界の端から生まれた白い花びらが目の前を覆いつくし、意識を遠のいていく。
白ルシア「最後の任務かしら、指揮官」
指揮官「ああ、そうだ。ルシア」
白ルシアは、私の前で意味深に微笑んだ。
白ルシア「久しぶりに、家族以外にその名で呼ばれたわ。」
指揮官「どうして君たちはこんなにも似ているんだ?」
白ルシア「あの子の生まれた理由は、私と似ているから。似ているのは、当然」
指揮官「…分からない」
白ルシア「ひさしぶりに、気分がいいからひとつ教えてあげる―――指揮官、塔には近づかないことね」
指揮官「なぜ?」
白ルシア「死ぬから」
指揮官「そんなに恐ろしいことじゃないように思えるから、不思議だよ」
白ルシア「貴方以外の人類が、ね」クスクス
彼女は、バイクのエンジン音と共に消えていく。
指揮官「ぁ」
ルシア「あの…起きたならどいてもらえますか?」
ルシアの膝枕に寝かされていた私は跳ね起きた。
リー「全く、急に倒れたと思ったらルシアの服を掴んで離さなかったんですよ」
リーフ「…よかったような、よくなかったような気がします…」
私は、ルシアに謝ってからすぐに作戦開始の指示を出した、
不吉な予言が頭の隅でいつまでも鳴り響いている、
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