322: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:26:53.76 ID:664efG6d0
赤ん坊がダダをこねるような泣き声だった。
いつの間にか、静の目の前に、有栖川メイが立っている……。
静「…………」
323: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:27:56.48 ID:664efG6d0
メイ「『友達』でいいじゃあないの。あなたも……私もッ!『友達』なんて、いなかったんだから……!!」
静「……」
メイ「こうして、私とあなたは子供の頃、『友達』だったッ!一緒に遊んで、かくれんぼや鬼ごっこをしてッ!」
324: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:29:00.43 ID:664efG6d0
メイ「ふたりとも、『友達』だったッ!!それで……それでいいじゃあないの……」
静「……」
メイ「うう……お願い、静……!」
325: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:29:31.98 ID:664efG6d0
メイ「私を一人ぼっちにしないで……あああ……うう……」
ヒック……ヒック……
静「……メイ、あたし……」
326: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:30:00.82 ID:664efG6d0
静「知れて良かった、って思うの」
メイ「……」
ヒック……ヒック
327: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:30:42.51 ID:664efG6d0
静「寂しかったのよね。アンタは……あたしと同じよ」
メイ「……」
静「だから、『友達』になろうとした。みんなと……みんなと『幸せ』になりたかったのよね」
328: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:31:19.48 ID:664efG6d0
静「あたしが透明になって見えなくなって、世界中の誰もがあたしを見失っても……」
メイ「……」
静「アンタはあたしを見つけてくれる。……そのくらい、アンタは『優しい』人」
329: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:31:58.07 ID:664efG6d0
静「自分の『幸せ』をつかむために……他人を踏みにじっちゃあいけないのよ」
メイ「!――……」
チラリ
330: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:32:31.26 ID:664efG6d0
二人は、一面のクローバー畑にいた。
静は地面の上に立ち、
メイは……三つ葉のクローバーを踏んでいた。
331: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:33:13.86 ID:664efG6d0
メイ「……静……」
静「……」
メイ「……静……静ッ!わたしは、わたしは――……!!」
332: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:34:06.32 ID:664efG6d0
静「日常を守るの」
メイ「ッ!……」
静「……アンタが作ろうとした眩しい世界と比べたら、ちっぽけで、きたなくて、こわくて、危ない……そんな、世界なんだけど」
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