284: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:00:52.19 ID:664efG6d0
ジョセフ「おお、よしよし……泣くのはおよし、静や……静」
静・ジョースターは、ロッキングチェアに座るジョセフ・ジョースターの膝にすがりついて泣いていた。
もうすぐ九十にもなろうというジョセフは、やさしく、彼女の頭を撫でる。
285: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:02:02.26 ID:664efG6d0
ジョセフ「静や、静……何故泣いておるんじゃ?」
静「わからない……わからないの。ただ……あたし、何か……」
286: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:02:41.39 ID:664efG6d0
静「何か、大切なものを……『忘れた』気がして……」
ジョセフ「忘れた、のう……」
……パチパチ……
287: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:03:16.97 ID:664efG6d0
ジョセフ「それでも静、お前には『友達』がおるじゃあないか。『メイ』という……」
静「『友達』……」
ジョセフ「忘れたとしても、『友達』がおれば、安心なんじゃあないかのう」
288: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:03:59.67 ID:664efG6d0
静「あたしが忘れたものは……もっと、大切なものだと思うの」
ジョセフ「……ふむ。『メイ』よりもかの?」
静「うん。……なぜだか、わからないけど……」
289: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:04:42.97 ID:664efG6d0
ジョセフ「わしにはの、『友達』がおらんからの」
静「…………」
静・ジョースターは顔を上げた。
290: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:05:30.15 ID:664efG6d0
ジョセフ「不動産業に手をつけてからは、会う人み〜〜んな商売敵と金狙いのヤツばっかりのようなもんでの〜〜ッ。あの頃は辛かったもんじゃ!ガッハッハッハッハー」
静「うそだあ。だって、おじいちゃんは……」
ジョセフ「うむ?」
291: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:06:01.95 ID:664efG6d0
ジョセフ「あいつはのォ……良き友であった。付き合った時間は短いが、共に修行に励み、共に戦い、共に怒り、共に笑い……そして、わしは、涙を流した」
静「…………」
ジョセフ「今でも大切な『友』じゃよ。しかし……そうじゃのう。あいつは……『親友』じゃからのう」
292: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:06:35.01 ID:664efG6d0
静「……『しんゆう』……」ズキリ
ジョセフ「口に出して確認したことはないが、全てが終わった今……心からそう思う。どこかに遊びに行ったことも、盃をかわして飲みあったことも、女性の趣味について語ったこともないヤツじゃ」
静「……」
293: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2021/01/10(日) 21:07:04.64 ID:664efG6d0
ジョセフ「それでも、言葉にしなくとも……伝わるものはある」
静「……」
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