108: ◆8TImjtGSKs[sage]
2021/02/09(火) 22:26:52.09 ID:5dG4fBjuO
鞠莉『こちらも無理強いはしない。あくまでお願いはお願いであって、そこに強制力はない』
電話に出た直後の、少しおどけた様子は残っていない。
真剣な声で、鞠莉さんは私に語り掛ける。
鞠莉『断るならこの話はすぐに忘れて、気持ち新たにジムアリーナを楽しんで欲しい。
みんながフェスティバルを楽しんでくれることこそが、私や準備委員会にとっての本望だから』
歩夢「……」
鞠莉『迷ってるみたいね……じゃあ、返事は聞かないことにするわ。
私の話はこれで終わり。お時間取らせてごめんなさいね、良い旅を』
ピッ
電話が切られて。無言のまま、私はベッドに倒れ込む。
結局……梨子さんの時にも言いそびれたココガラとイーブイの件も、話せずじまいに終わった。
関連性があるのかはまだ分からない。分からないけれど。
話してしまえば、騒動の渦中に飛び込んで行くことになる──そんな予感がして、口にすることが出来なかった。
歩夢(こういう時……愛ちゃんやせつ菜ちゃん、侑ちゃんだったら、どうするんだろう)
歩夢(……やめやめ! 今日はゆっくり休んで、それからまた考えよう)
答えは出ないまま、私の意識は眠りへと落ちていく。
いずれ巻き起こる大事件のことなど、考えもしないまま。
自分たちを取り巻く歯車がとっくに動き出していることから、目を背けたまま──
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