白菊ほたる『人身御供』
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10: ◆ikbHUwR.fw[sage saga]
2021/01/01(金) 19:46:00.33 ID:MkNadbD70
ほたる「お待たせしました。ここ、いいところですね。静かで、景色もよくて」

山の神「あっさりしすぎとる」

ほたる「はい?」

山の神「なあ、ほたるちゃん。村長からなんて言われて来たん?」

ほたる「ええと、『神様に温泉湧かしてもらったから、お礼に何日か泊まり込んで身の回りの世話をしてやってくれ』って」

山の神「……あんの、クソジジイ」

ほたる「嬉しかったんですよね」

山の神「ん? なにが?」

ほたる「私、不幸体質で、村の厄介者だったから……。指名されて、私なんかが人の役にたてるって言われて」

山の神「…………」

ほたる「あ、人じゃなくて神様の、ですね。……なので、神様にもご迷惑おかけしちゃうかもしれないんですけど……」

山の神「平気や。ワイは死なんし、ほたるちゃんのほうになんかあっても、神の力でなんとかするから」

ほたる「ありがとうございます。それで、私のお仕事なんですけど……」

山の神「ん」

ほたる「実は私、お母さんからずっと刃物と火には近づかないようにって言われてて、お料理とかはからっきしで……」

山の神「ああ、ほな飯はワイが作るわ。独身生活長いし慣れたもんやで。ちゃんとほたるちゃんにも食えるもん用意するから」

ほたる「すみません。では私はお掃除とか……ここ、綺麗ですね?」

山の神「そのへんは神の力でぱーっとやっとるから」

ほたる「じゃあ……私は、なにをすれば……?」

山の神「こうして話相手してくれとるだけで助かっとるよ」


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