16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2020/12/31(木) 22:07:03.19 ID:31ioHmBu0
「それに、よく覚えてないの」
思わず腰が浮いてしまった。
私は何食わぬ顔でお尻を椅子の上に戻し、
「何が?」
「話に出てた薬の名前。店主さんはそこまで教えてくれてたのに、調べたくても手掛かりが無いし。
……うぅ〜……思い出せない! もしかして私、若年性痴ほう症だったり!? 今日もレッスンで使う楽譜を家に忘れて来るし、最近ちょっとついてないかも――」
「……ところで店主さんの性別は?」
「ハスキーな声の人だったわ」
それだけ覚えてたら十分よ、と返した瞬間「にゃーん」と猫の鳴き声が高く響いた。
思わず産毛がぞわわわわって逆立ったけれど、話を打ち切るタイミングとしてこれ以上のものはなかっただろう。
自然と浮いた腰を今度はそのまま持ち上げて、立ち上がった私は振り向きざまに質問した。
「誰っ!?」
「志保ー。あずささんを駅まで迎えに行くから、代わりにお前を送ってくぞ」
立っていたのはプロデューサーさん。
抱えられてた暖房代わり、こぶんが「にゃーん」ともう一度高く鳴いた。
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