6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/23(水) 03:50:24.87 ID:2v7Wc5RF0
男(祭囃子。まるで別世界へと迷い込んだような空気の変質)
男(熱に浮かされた人々の騒ぎと、こぼれて溢れる光に、隣の通りへ誘蛾のごとく立ち寄ると)
男(さながら天から降ったと思うほどの美貌の遊女が)
男(しゃらん、しゃらんと浮世を震わせ、道を下っていた)
「夕霧大夫だ」
「やっぱり遊郭一だ。夕霧大夫は」
〈ドンドン パーパラー
夕霧大夫「????」
男(世界は彼女を中心に廻っているのではないかと思った)
男(悪名高き、怨敵鬼舞辻が生み落とした鬼も忘れて、この時代のこの場こそ完成された世界に感じた)
男(万人の視線を浴びて、凛々しく可愛らしく、そんな花魁に誰しも憧憬の眼を向ける)
〈オナアアアアリイイイイイ??
男(……だが)
男(その列の後ろ、闇夜に溶け込む一人の遊女)
男(つまらなそうに、退屈で仕方ないといった具合で睨めつける姿を見て)
男(かつてないほど、心の震えを覚えた)
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