4: ◆ivbWs9E0to[saga]
2020/12/18(金) 21:21:28.59 ID:dICjsRIu0
マスクと眼鏡で表情はよく見えないけど、呆れたような優しい表情が声色から想像できた。
ロングコートで柱を背に真っ直ぐ立っている志保ちゃんはそれだけで絵になる。なんでか私が嬉しくなってしまう。曇った眼鏡で表情が見えず、ちょっと怪しい人にも見えなくもないけど。
どこか違和感を覚えてよく見てみると、周りを歩く人よりも志保ちゃんの眼鏡はより一層曇っているようだった。
「ごめんね、待たせちゃった?」
「偶々タイミングが良かっただけだから」
「そっか。ありがとう」
何を言うでもなく志保ちゃんが歩き出したので、慌てて私も横に並ぶ。集合場所は分かっていたけれど、駅からどちらに向かえば良いかは分からなかった。こういう時は着いたら調べればいいやと思ってしまう。けど、志保ちゃんが向かうならその方向で合っているのだろう。
「ちゃんと自分で調べて来なさいよ」
その魂胆が態度に出てしまっていたようだ。いつものように笑って誤魔化したまま、歩みを進めた。
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