46:名無しNIPPER[saga]
2020/12/16(水) 23:51:55.54 ID:SnYRZ/x4O
――――
不良「こいつはどういうことだ? 見た感じ、ただの大通りだぜ」
女「そうね」
女・不良「……」
不良「言いにくいんだがよ。あんた……」
女「偽の情報を掴まされた、って言いたいんでしょ。そうみたい。私たちはただ、人気のない道を通り抜けただけ。やさしい世界なんてどこにもなかったのよ」
女「ふふっ、見事にネットのデマに踊らされたわ。バカみたいよね。ごめんなさい、信じてついて来てくれたのにこんな結末になっちゃった」
女「私はもう行くわ。またどこかで会ったら美味しいコーヒーでも飲みましょう」
不良「デマとは言い切れねえんじゃねえかな」
女「えっ」
不良「俺はそうは思わねえ、つーか思えねえんだよ。ここに来るまでいくつもの出会いがあっただろ? 偶然にしちゃ出来すぎてる」
女「偶然よ」
不良「そうか? 俺が思うに、なんていうか……上手く言えねえけどよ。俺たちが通った道は、やさしい世界へ行くための道じゃなくて」
不良「やさしい世界へのきっかけを作ってくれる道なんじゃねえかって。そんな感じがするんだよ」
女「やさしい世界への……きっかけ……」
不良「踏切から始まって、俺は不貞腐れた原因の相手と打ち解けることができた。あんたは兄貴が目を覚まして、兄妹の関係を見つめ直す機会ができた」
不良「この後どうなるかは分かんねえけど、上手くいけばきっと……」
女「……なるほど」
不良「はは、妄想だけどな」
女「あながち、妄想じゃないかもしれないわよ。後ろを見て」
不良「!」
不良「どうなってんだ。俺たちは大通りに出てから一歩も動いてねえのに」
女「道が消えてただの壁になってる」
女・不良「…………」
49Res/25.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20