千川ちひろ「竹芝物語」-SS速報VIP

千川ちひろ「竹芝物語」

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231:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:37:53.06 ID:64qMODCb0
「この契約書のとおり、当初は４月１日から９月末までの、６ヶ月間の予定でした。
　ただ、私達の社長がプロデューサーに打診をして、346プロさんにも直接掛け合い、３ヶ月間の延長をしたんです」

　説明をしながら、音無さんは別の一枚紙を私に提示しました。
　変更契約書と題されたそれは、当初契約における派遣期間の条項を変更する旨が示されています。

以下略 AAS

232:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:41:14.94 ID:64qMODCb0
　今日、私が765プロに来た目的の一つは、プロデューサーさんが346プロにやってきた事の裏付けを知ることでした。

　そのために、まずは両社の間で交わされた文書を確認すること。
　これは、先述の通り346プロの中で確認すべきことでしたが、これの管理をしているであろう美城常務が取り合ってくれませんでした。
　他社とのデリケートな密約を、不用意に末端まで共有すべきでないという意図があったのかも知れません。

以下略 AAS

233:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:45:04.07 ID:64qMODCb0
　いつも思わせぶりな事しか言わないんです、と、頬を掻きながら音無さんは「アハハ」と誘い笑いをしました。
　その調和を取り持つような、彼女の朗らかな雰囲気が、シンデレラプロジェクトの皆と話していた時の彼に重なります。

　なるほど――あの人はやはり、この事務所のプロデューサーなのだなと、改めて思い知らされます。

以下略 AAS

234:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:48:49.12 ID:64qMODCb0
「……深入りが、悪だと？」
「はい……それで、社長が」

　ううん、と咳払いをして、音無さんは顔を上げました。

以下略 AAS

235:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:51:25.91 ID:64qMODCb0
「しゃ、社長自ら、ですか！？」
「黒井社長、ウチの社長と仲良しなんです。
　だから、黒井にしか頼めない事なんだよぉって、高木も頭を下げていたんですけどね」

　噂に聞いた以上に、アグレッシブな社長のようです。

以下略 AAS

236:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:54:26.19 ID:64qMODCb0
　何かを思い出したように、音無さんは急に押し黙り、視線を落としました。

「お、音無さん……？」

以下略 AAS

237:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:56:07.73 ID:64qMODCb0
「……千川さん」

　音無さんは、悲痛な面持ちで私を見つめました。
　まるで私に助けを求めるかのように。

以下略 AAS

238:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 16:59:23.32 ID:64qMODCb0
　今日の私の行いは、事務員としての業務の範疇を完全に越境しています。
　出張の用務としてバカ正直に申告しては、いくらウチの課長だって通してもらえるとは思えません。

　だから、私は今日、有給を取りました。
　上長に秘密裏に事を進めるために――。

以下略 AAS

239:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 17:02:09.86 ID:64qMODCb0
　怒られるかな、と内心恐る恐る申し上げたのですが、当の相手方はポカンとしています。

　そう言えば、相手は事務員さんなのです。
　おそらく、それを良しと判断できる立場ではないし、もっと詳しい方が別にいるのでしょう。

以下略 AAS

240:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 17:05:51.14 ID:64qMODCb0
「えっ？　あ、は、はいっ。
　そっか、今日お見えになるんでしたよね。すみません騒々しくって」

「346プロ！？」

以下略 AAS

241:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 17:08:29.00 ID:64qMODCb0
　私は、かぶりを振りました。
　そうです。この際、アイドルの子達にも同席してもらえた方がいいでしょう。

　しかし――。

以下略 AAS

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