千川ちひろ「竹芝物語」-SS速報VIP

千川ちひろ「竹芝物語」

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200:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:26:35.66 ID:64qMODCb0
　常務が退室されて間もなく、私達はアイドルの子達にも帰るよう促しました。
　美嘉ちゃんは眠ったままですし、いつまでも皆でこの部屋にいても仕方がありません。

　――という杏ちゃんの提案によるものです。
　それは、ごもっともでした。

以下略 AAS

201:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:28:06.14 ID:64qMODCb0
「先ほどの神崎さんの言葉で、気になることがあります」

　思わず、ＣＰさんの方へと顔を向けます。
　先ほど、ちょっとだけ緩んだ表情が、元の仏頂面に戻っていました。

以下略 AAS

202:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:30:17.60 ID:64qMODCb0
　ふと、彼がやってきてからの日々を思い出します。

　私の隣で、書類の作成に四苦八苦しつつ、アイドルの子達に柔らかな笑顔で対話をする情景。

　美嘉ちゃんに冷たい態度を取りながらも、資料室で隠しきれない敬愛を示したあの日。

以下略 AAS

203:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:32:23.26 ID:64qMODCb0
「……それを知りたいのかも」

「えっ？」

以下略 AAS

204:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:35:28.56 ID:64qMODCb0
「分かっていただけたなら、何よりです。
　極力、お身体を大事にされた方が良いでしょう。
　後ほど、タクシーを手配します」

　そうＣＰさんが提案すると、美嘉ちゃんは慌てて手を振りました。

以下略 AAS

205:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:37:32.22 ID:64qMODCb0
　ＣＰさんが出て行くと、二人きりの医務室は途端にお部屋が広くなりました。
　タクシーを呼びに席を立とうとすると、美嘉ちゃんに止められたので、まだ私は椅子に座ったままです。

「ちひろさんはさ、どう思ってる？」
「何をですか？」

以下略 AAS

206:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:39:28.39 ID:64qMODCb0
「アイドルって、遊びじゃないんだから……ワガママなんて、言ってられないんだってこと」

　鼻で小さく笑い、美嘉ちゃんは顔を上げました。

以下略 AAS

207:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:41:15.79 ID:64qMODCb0
　美嘉ちゃんの表情は、ひどく冷たい怒りに満ちているようでした。
　先ほどまで、私とお話をしていた時とは、まるで別人です。

「こっちの面倒見る気が無いとか言っときながら、何その言い草。

以下略 AAS

208:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:42:38.55 ID:64qMODCb0
「…………」
「み、美嘉ちゃん！　そういう言い方は…！」

「いい加減にしてよ」

以下略 AAS

209:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:46:39.39 ID:64qMODCb0
　慌ててプロデューサーさんを追いかけます。
　逃げるように去って行ったものの、それほど急ぐ様子はなかったため、難なく彼の横に追いつくことができました。

　そう――早歩きでも大股歩きでもなく、極めて普通に歩いていました。
　まるでそのようにしようと、努めているかのように。

以下略 AAS

210:名無しNIPPER[saga]
2020/12/12(土) 15:48:05.54 ID:64qMODCb0
「プロデューサーさん……」

「俺が望んだとおりの別れを、美嘉は受け入れました。
　これ以上深い付き合いにならないよう、袂を分かつことを。

以下略 AAS

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