222:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:41:21.01 ID:tRJaplXx0
空気がしん、と澄み渡った。声は静かな世界に放りだされて、その跳ね返りもなく、なんだか独り言のようだと思った。隣に顔を向ければ、そうでない事が分かった。
そこに居ますね、と眼で認めてくれていた。
ここに居ますよ、と笑って返した。
223:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:41:49.12 ID:tRJaplXx0
Epilogue――
一ノ瀬志希を捕まえた。志希が捕まってくれた、の方が正しいのだと思う。どっちであろうと構わない。眼目はこうだ、今までのらりくらりと躱されてきたが、
「ようやく話が出来そうですね」
224:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:42:22.43 ID:tRJaplXx0
「舞台のですね。くすねたのですか?」
「にゃはは」
都の提案で、記念に二人で片割れずつ持っておくことにした。だが、そうするべきだったのか、志希の真意を今日まで聞きそびれていた。
「幾つもの暗号の先、貴女はこの金貨にどんな意味を込めたのですか」
225:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:43:06.24 ID:tRJaplXx0
「特に意味はない、ということですね。そんな気はしていました。それで、もう一つ謎が解けたのですよ」
「ふむふむ。シンリの探究は断らないよん?」
「あの日、私のスマートフォンの電源が切られていました。おかげで頼子さんのメッセージに気付くのが遅れるところでした。志希さん、貴女がやったのですね。貴女なりの、失踪というやつの方法論を実践させる為に」
「ほうほう?」
「私に何らかの連絡が来る事は容易に見越せたでしょう。貴女はその連絡に、私が気持ちの切り替えをつけるまでは気付かないように仕組んだ」
226:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:43:58.95 ID:tRJaplXx0
そこへ頼子がやって来た。手には千夜が着る紅と金のショール。笑んでそのまま、着せてくれた。
「本番には間に合いましたね」
腕を通しながら、頷く。時間を掛けただけはあるというところか、仕上がりがいい。志希が見て、言う。
「んん? にゃはは、イイカンジ」
「それは、似合うということですか?」
227:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:44:30.15 ID:tRJaplXx0
「にゃは、決めちゃえ〜」
「お願いしますね、都ちゃん」
「ぶちかましたれェあうるさいですか」
「それでは、ええと…… よし!」
228:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:45:05.95 ID:tRJaplXx0
「メロンの香りがしますね!」
「お好きでしょう?」
229:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:46:44.50 ID:tRJaplXx0
出典まとめるの忘れてました! あとで!
230:名無しNIPPER[sage]
2020/12/02(水) 10:08:15.65 ID:sNyDelXH0
大作乙でした!
読み応え抜群で楽しかったです
231:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/03(木) 01:10:10.63 ID:yZ8aBbn90
>>230
ご感想ありがとうございます!
楽しんで頂けたという事で、うれしいです!
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