白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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139:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:44:16.32 ID:tRJaplXx0
「やだなー、DJだよ。リーダーなんてやってらんないし…… ま、なぜか相談を受けちゃったのは確かだよ」スマートフォンを振る。連絡アプリでのやり取りが表示されていた。「人働かせなもんだよね…… ねえ千夜、みんなに心配掛けたね」

 事もなげな調子の声に、胸がぞくっとして、言葉を返せなかった。杏は取り合わず続ける。
「だから杏、《何もするな、気にするのもするな》って言っといたげたよ」
「それは、お世話様でしたね」
「てかさ、詳しいじゃん。LittlePOPSの事調べたの?」
「たまたまですよ。他の人の事など、いちいち知る必要もありません」
「そ。ま、舞台の空気感ってあるよね。みんな千夜が怒ってるんじゃないかって思ってるぐらいだし、千夜の気が済む程度に謝っとけば大丈夫だよ」
「そうですね。ご助言痛み入ります」
「ほんと痛み入る? じゃあさ」
「何です」

 杏は十字を切り、合わせた手を頬に当てながら、
「Can I get an あ〜め?」

 ちょっと傾げたその笑顔は溶けるようで、むしろマシュマロをあげたら似合うだろうな、とぼんやり思う。この頬、気を抜いたら突ついてしまいそうだ。

「考えておきますよ」
 目を切って、稽古場に向く。陽はもう傾いている。何でもいいから先を急ごう、と考えるのをやめた。足を早めようか――

「千夜」


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