樋口円香「歩道橋」-SS速報VIP

樋口円香「歩道橋」

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1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:38:34.41 ID:nn/l7lqf0

片側三車線の大きな道路を結ぶ歩道橋がある。
その道路はしばらく歩かなければ横断歩道はなく、反対側へ行くにはその歩道橋を渡る必要があった。

歩道橋の階段は全部で三十六段。
駅に近いこともあり、多くの人がこれを利用する。

というよりも、駅から出て移動をするにはこの歩道橋を渡る必要があり、同様に駅に入るにもこの歩道橋を渡る必要があるだけなのだが、とにもかくにもそういう歩道橋がある。

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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:39:57.88 ID:nn/l7lqf0

一段、二段、三段、四段。

踏み締めるように上らねばならないのは、ダンスレッスンで半日踊り明かしたせいで、一歩一歩がひどく重く感じられた。

以下略 AAS

3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:40:57.05 ID:nn/l7lqf0

〇

レッスンスタジオの受付で、使用させてもらった部屋の鍵を返し、お礼を言う。
靴箱から、自身のローファーを取り出して玄関のタイル上に置けば、小気味の良い音がこつん、と鳴った。

以下略 AAS

4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:42:12.26 ID:nn/l7lqf0

首を縮めたことにより下がった視線は、否応なくアスファルトを視界に映す。
そこには役目を終えたのであろう葉っぱたちが敷き詰められていた。

多くは、通行者に踏みつけられ悲しい姿になっていたが、私はその中から比較的状態の良いものを拾い上げる。

以下略 AAS

5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:43:22.32 ID:nn/l7lqf0

一段、二段、三段、四段。

踏み締めるように上らねばならないのは、ダンスレッスンで半日踊り明かしたせいで、一歩一歩がひどく重く感じられた。

以下略 AAS

6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:44:09.12 ID:nn/l7lqf0

「精が出ますね」

「んあ、何に」

以下略 AAS

7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:44:54.79 ID:nn/l7lqf0

そして、歩道橋の端にさしかかったところで、一つの考えが浮かんだ。

「ポイントが全て貯まりましたので、記念品を贈呈します」

以下略 AAS

8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/10/31(土) 08:45:33.46 ID:nn/l7lqf0

「やっぱり、返してください」

「えー。いや、せっかくだから」

以下略 AAS

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