92: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:56:54.72 ID:V6x1Fopt0
壁にかけていた時計が、
12時の合図を告げるのに、大げさな鐘の音を流す。
ちゅるちゅると素麺を食べていく。
93: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:57:35.43 ID:V6x1Fopt0
爺ちゃんはテレビから全く目を逸らさずに言った。
「ひなたは、こういうのやらんのか」
94: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:58:11.46 ID:V6x1Fopt0
あたしが出遅れて、「う、うん」と言い切る前に
婆ちゃんがフォローに入る。
95: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:59:25.39 ID:V6x1Fopt0
……お休み中。
あたしは今、事務所に頼み込んで、
休業ということにしてもらっている。
96: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:00:05.92 ID:V6x1Fopt0
そのことに気がついた時、憧れだった自分のいる世界が。
97: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:00:42.77 ID:V6x1Fopt0
毎晩、夢を見る。
それも同じ夢。
素敵な衣装を着て、ステージに立って、
98: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:03:24.79 ID:V6x1Fopt0
そうして、大失敗を引き起こして、あたしは目が覚める。
思い切り転んで膝から先があらぬ方向に曲がったり。
誰かとぶつかってしまって怪我をさせたり。
突拍子もなく誰かがステージ上で爆発してしまうこともあった。
99: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:04:17.66 ID:V6x1Fopt0
レッスンの日付は、月水金。
そんなことはもう決まっているので書かなくなってしまった。
だから、白いスケジュール帳で何も無いということは、
100: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:04:59.09 ID:V6x1Fopt0
でも、爺ちゃんの方がまだましだった。
爺ちゃんは、なんというか。
まだ会話というか、意識のベクトルが
あたしに向いているのが感じられる。
101: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:05:33.12 ID:V6x1Fopt0
「……そうか。どうしてなんだ」
「……そうか。残念だよ」
102: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:06:29.65 ID:V6x1Fopt0
「携帯は繋がるように一応してるから」
「ああ」
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