119: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:57:21.64 ID:V6x1Fopt0
重たい空気の中で、テレビの音が聞こえる。
どこかで聞いたとこのある声だった。
「じゃあ多かったら残してもいいからね」
120: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:58:57.40 ID:V6x1Fopt0
流石に一ヶ月も一緒に過ごしてきた祖父母との会話は、
ハッキリ言ってしまえば退屈なソレだった。
121: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 19:59:48.14 ID:V6x1Fopt0
いつもなら可愛らしいなぁ
とか思っていたはずなのに。
どうしちゃったんだろう。
122: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:00:31.29 ID:V6x1Fopt0
ここにあるシャンプーは
市販のものでリンスもあるけれど、
あたしの髪の毛はどんどん潤いを無くしていく。
123: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:01:19.23 ID:V6x1Fopt0
あたしはシャワーの温度を
元に戻してからお風呂から上がる。
リビングの方では爺ちゃんが足の爪を切っていた。
124: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:02:14.88 ID:V6x1Fopt0
それが爺ちゃんが何のつもりで言った言葉なのか
あたしには分からなかった。
励ましているの?
125: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:02:55.20 ID:V6x1Fopt0
「あたしも……本当は戻りたいんだけどね」
「なあ、ひなた」
126: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:03:57.41 ID:V6x1Fopt0
「え」
と情けないことを漏らすあたしに
127: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:05:36.48 ID:V6x1Fopt0
「まだ、やり残したことがあんだろ?
俺には細かいことは分かんねえけど。
もう一回見せてくれよ、テレビでさ」
128: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 20:06:33.88 ID:V6x1Fopt0
あたしは、小さくなった爺ちゃんの背中に向かって、
不安を抱えたままの「うん」とも「うーん」とも捉えられる生返事を返す。
でも、気がつけば、あたしはもう東京に帰る気で居た。
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