【安価・コンマ】ファンタジーな異世界に異物が紛れ込むお話
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84: ◆7m3grp2dM2[saga]
2020/09/17(木) 23:37:06.34 ID:ROrzGGsFo

そんな事件が、自らの仕える『ストレーン家』の領地で行われたという事は露知らず、彼はいつも通りの朝を迎えていた。

浅黒い肌に、ギョロリとした爬虫類のような目。それ以上に目を引く魔物のような一対の角をその頭に携えた青年――エルグラッド。
彼は目覚め特有の気怠さを身に纏いながら、身支度を始める。

執事として専用の個室が与えられている彼は、くすみが目立つ古い鏡にその姿を映しながら服を着替える。
依然は髪の毛も梳いていたが、いくら梳いても整わないと諦めきっている貴方は、川の流れのようにうねる緑髪を鬱陶しそうに持ち上げる。

「タイ良し。ハンカチ良し。手袋良し」

鏡の傍にピン止めされている古いメモ帳を見ながら、声に出してひとつづつチェックを入れていく。
大変物覚えが悪く酷く爺様を困らせた貴方が何とか一人でも身嗜みを整えられるようになったのは間違いなくそのメモ書きのおかげだった。

「目ヤニなし。歯も磨いた。顔も拭いた。寝ぐせは……ええやろ」

全部良しと容姿のチェックを終えると、彼は大きく息を吐いて自室を出る。

上等な赤い絨毯の敷かれた廊下。
今日も朝早くから、同じ仕事仲間であるメイド或いは掃除婦が忙しなく自らの務めを果たしている。

「おはようございます」
「ん、おはよう…ございます」

その屋敷に努めて十年以上たつが、彼はいまだにその堅い喋りになれておらず、その様子をクスクスと微笑ましげに笑われてしまう。
そんな視線を後ろに感じながら彼は一つ咳ばらいをし、一つの扉の前に立つ。

コンコン

とその扉を叩く。


1、反応が返ってくるまで待つ
2、「入るぞ」と勝手に開ける
3、「おはようございます」と声をかける

安価↓1



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