【安価・コンマ】ファンタジーな異世界に異物が紛れ込むお話
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◆7m3grp2dM2
[saga]
2020/09/21(月) 23:28:12.51 ID:TuWYvT/zo
選択:1 共同墓地
お嬢様に連れられてたどり着いた先は、教会の共同墓地。
その場所にはよく見覚えがあった。
お嬢様がこの場所に来た理由についてもすぐに得心がいった。
アイリス「来たよ、じいや」
一つの墓石の前に立ち、穏やかで優しい声色でお嬢様は物言わぬそれに話しかける。
教会の神父から貰った花を墓石の前へ備え、お嬢様はその場に膝をつき祈りを捧げるように手を合わせ目を瞑っている。
膝が汚れることも厭わず、スカートが大地に触れることも意に介さず、ただ無言で手を合わせていた。
『ゴーギュスト』
家名もなく、ただその名前だけが墓石には刻まれていた。
その墓石の下には、とある老人の亡骸が眠っていた。
かつてお嬢様のお付きの執事でもあり、オレをあの場所から拾いあげた人物。そして……オレを獣から人へと育て上げた恩師でもある。
お嬢様はただ黙々と祈りを捧げている。
お嬢様はどんな事を思っているのだろうか?
神というあるかどうかも分からない存在の事を思っているのだろうか?
それとも、死した相手に言葉を届けようと思っているのだろうか?
或いは、過去を思い出しているのかもしれない。
その過去は、ありし日の思い出だろうか?
それとも……未だに癒えぬ傷を想起しているのかもしれない。
オレは、お嬢様のように目に何かに祈りを捧げるという行為を理解できない。
だからただ、お嬢様が何物にも邪魔をされないように、オレは周囲への警戒を強く意識していた。
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