高垣楓「あなたがいない」
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180: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/24(木) 21:41:59.01 ID:itU6iUE10

 ざらざらと、溜まっていたニトラゼパムとエチゾラムを出す。これを全部、飲んだら。

「楓さん!」

 私の寝室にちひろさんが入ってきた。ちひろさんは私を抱きしめ、言った。

「馬鹿! ダメでしょう!」

 ……え? なにが?

「なにをしてるんですか! 楓さん!」

 なにって、えっと……なに?

 ……あ。

 視線の先には、折り重なる睡眠薬のシート。
 私、なにをしてるんだろう。

「よかった……よかった」

 ちひろさんは私を抱きしめたまま、ぼろぼろと泣き出した。

「あの……ちひろ、さん」
「ダメです」

 そう言ってちひろさんは私を離さない。涙はいつか泣き声となる。

「楓さん! ダメですよ! ダメです!」

 泣き叫ぶちひろさん。その叫びが私を、現実へと戻していく。
 体が震え、頭がぐらぐらする。

「……ごめん、なさい」

 私は口癖のように、彼女に謝った。

「許しません! 許しませんから……」




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