15: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 19:44:28.75 ID:H4zZvC5e0
少年(僕らは歩き続ける)
少年(シーラカンスが泳いだ跡は、光る粒子が軌跡となって闇の中を流れていく)
少年(まるで天の川を泳いでいるように見える)
少年(綺麗だな。どれだけ見てても飽きないや)
シーラカンス「君は何故深夜に歩こうと思ったんだい?」
少年「……逃げたかったんだ。何もかもから」
少年「僕、ピアノをずっと弾いてたんだけど……突然弾けなくなっちゃったんだ」
少年「だから、どこか遠くへ行ってしまいたかったんだ。何て言うか……」
シーラカンス「気分転換に」
少年「そう、それ」
シーラカンス「それも悪くない。同じ世界の繰り返しでは、深さと言うものは生まれない」
少年「君は何か好きなものはある?」
シーラカンス「私は炎が好きだ」
少年「炎? 意外だな」
シーラカンス「炎とは常に揺らめき、変化し続ける」
シーラカンス「その一瞬一瞬に、同じ形は一つとして無い。しかし「炎」と言う確かな形は存在する」
シーラカンス「炎とは変化と不変、両方を孕んだ中立的なものだ。だから美しい」
少年「……難しい話はよく分からないけど、僕も炎は好きだよ」
シーラカンス「それで充分さ」
少年(僕たちは歩き続ける。薄暗い路地を抜けていく)
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