21:名無しNIPPER[sage]
2020/09/09(水) 02:47:31.15 ID:FP9CMTOT0
「14年前の夏、人間界で生まれた魔翌力を持つ金髪の少女だけが魔王を永久に滅する。そういう予言が出たの」
崩れそうな体を意思でつなぎ止める。
「魔王なら私が!」
「あなたにできる可能性があるのはあくまで封印でしょ。私たちは魔王を殲滅したいのよ。魔王が復活するたびに人々が恐怖に慄くのなんてもう終わりにしたいの」
そうだ。私たちの一族に伝わる魔法はあくまで封印術。予言を希望に磨いてきたけれどいまだにそのきっかけすらつかめていない。
「けれど人間界出身の翼ちゃんが一流の魔法使いとなるのは困難なことよね」
「そうです。だからあんな子に任せるなんて!」
「だから可奈ちゃんみたいな優秀な子に彼女の見本となって教えてあげてほしいのよ。今は言うことを聞いてくれなくても失敗していくうちに目の前に正解があれば成長も早いでしょう?」
それって翼の踏み台になれってこと?
冗談じゃない。
「そんなっ――」
「英雄の子孫として、ね。まさか自分が世界を救えないならどうでもいいなんて思ってないでしょう?」
「っ!」
私は!
「失礼しますっ!」
気が付いたらその場から逃げ出していた。
75Res/52.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20