勇者「この物語の結末は、ここにいるみんなが見たいんだ」
1- 20
55: ◆B6Um3JY876[saga]
2020/08/30(日) 02:31:13.70 ID:eg4qxyAZ0
案内人「そんな離宮を戦没者の墓地にしてしまうなんて、勇者様にはびっくりですよ」

戦士「ああ、戦没者はな、みな平和な世の中を信じて魔王や魔族と対峙してきた者たちなのだ」

戦士「そういう者たちは、誰よりもいい場所で、平和になった王国を見つめる権利がある」

案内人「そういうところに気を配るのが、勇者様の勇者様たる所以なんですかね」

案内人「それにしても、王様のところよりも先に墓地に立ち寄るなんて、我々が同じことをしたら即刻処刑されますよ」ハハハ

戦士「そんなことはなかろう」

案内人「いやいや、不敬罪を甘く見たらいけませんって」

戦士「目の見えるものは自ら目を向ければよい。耳の聞こえるものは自ら耳を傾ければよい。五感の働くものは自ら五感を働かせればよい」

戦士「しかし、志半ばで絶えた者たちにはそれが叶わぬのだ」

戦士「我らは率先して、そういうものたちの目となり耳となり五感とならねばならぬ。それが生き残った我らの責務なのだ。それを不敬というものがどこにいよう」

案内人「それで皆さん、毎日墓地で長い時間を過ごされているのですか……」

戦士「ああ、未来に向かうからこそ、ここにいるものたちに語り掛けねばならぬのだ」

案内人「勇者様たちとここに眠る人たちは一心同体というわけですか」

戦士「この墓地にいるものだけではないぞ」

戦士「墓地にいるものも、生きて王国にいるものも、この平和を勝ち取ったもの全て含めて……」

勇者「この物語の結末は、ここにいるみんなが見たいんだ」

<<おわり>>


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
57Res/49.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice