3:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 15:48:21.35 ID:mHiJ1Ddl0
あの日以降、私はあかりちゃんのひとつひとつの言葉や行動が、なんだかいつもと違うような気がしてならなかった。
小さなものでも、降り積もって行けばあっという間に大きな違和感に変わってゆく。
今だって、そうだ。
あかり「あ、あかりちょっと図書室に行ってくるね」
ちなつ「なにか借りるの?」
あかり「うん、借りたい本があったの思い出したんだぁ。ちなつちゃんは先に部室に行っておいて」
さらりと手を振って、あかりちゃんが私の横を通りすぎてゆく。
なにそれ、と思う。
今は私とあかりちゃんふたりだけの部室だ。先に行ったって誰もいないし、いつだってふたりきり。
きっと本当に今すぐにでも借りたい本があるのかもしれない。
一緒に行こうと誘われないのは、私が先に勉強を始められるようにという気遣いなのかもしれない。
いつものあかりちゃん、これまでのあかりちゃんだったら、私は素直にそう思えたのかもしれないのに。
大きくなった違和感は、違う理由を私の頭にちらつかせていく。
ちなつ「……うん、わかった。まってるね」
あかりちゃんの背中にそう声をかける。
すぐ行くねとは返って来なかった。またひとつ、小さな違和感が重なった。
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