高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/11/29(日) 18:59:59.07 ID:RCe5Jm+v0
「これは?」
「これは見ての通りじゃがばたよ。おじさんは、じゃがばた屋さんだかんな。看板にも書いてあるだろう?」
言われて私は屋台の看板を見ると、確かにそこには「じゃがばた」の文字があった。
「あの、じゃがばたって、なんですか?」
「なに、お嬢ちゃん、じゃがばた食ったことないんか?じゃがばたって言うんは、ジャガイモを蒸かした上に美味しいバターを乗っけて溶かしながらジャガイモと一緒に食べる料理だ」
「へぇ〜」
「いいから、食ってみな」
「……いただきます」
おじさんに催促されて、私はじゃがばたをひとくち食べてみた。
「……っあっふあっふ!?」
一口食べると、ジャガイモの甘さとバターしょっぱさ、そしてものすごい熱さが口を襲った。
「あーあー、お嬢ちゃん、本当にじゃがばた食ったことなかったんだなぁ」
おじさんは笑いながらそう言った。
「どうだ?熱いけど、うまいだろ?」
「はふっ……はひっ!」
「そうかそうか……まあ、おじさんのじゃがばただかんな」
何とか熱さを逃がしながら、じゃがばたを飲み込む。
「……っはー……想像だにしなかった熱さだったけど、とても美味しいです」
「そいつは良かった」
私はゴンドラを足で押さえて流されないようにしながら、岸辺に座って残りのじゃがばたをのんびりと食べた。その時、少し強めの風が水路の上をかけていった。そして、葉っぱが私の目の前にひらりと舞い落ちてきた。
「あ、これ……」
私の声に、じゃがばた屋のおじさんが顔をのぞかせていった。
「お、お嬢ちゃん、良いじゃねーか。今年で一番最初の落ち葉かもな」
私の目の前に落ちてきたのは、小さいながらも黄色が鮮やかなイチョウの葉だった。
「ここはイチョウ並木だかんよ。秋も深まってくると、辺り一面が黄色くなるんだ」
「そうなんですか」
私はこの水路一面がイチョウで黄色くなるところを想像した。
「うふっ」
自然と笑みがこぼれてくる。
「秋の始まり、みーつけた!」
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