高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/09/07(月) 19:01:38.97 ID:2lWBzScl0
「……だけど、現実にはなかなか上手くいきませんね……」
そう言って、あやめちゃんはぐったりとうなだれる。
「その、『鳳天の舞』っていうのは、どういう技なの?」
私は少し気になったので聞いてみた。すると、あやめちゃんは「よくぞ聞いてくれました!」というような表情で語り始めた。
「鳳天の舞は、失われた禁断の書・『天華』に伝わるという秘奥義なんです。詳しい説明は作中で話されないのですが、初めてアイリスが鳳天の舞を使ったときの様子や、綾音先輩とのレース対決の際の描写などから、オールで思いっきり水を掬い上げることによって爆発的な推進力やブレーキ力を生み出す技だと考えられています」
「なるほど……」
「ね。私も『プリマをねらえ!』は読んでるけど、そこまで細かいことは知らなかったなぁ」
私とあずきちゃんは、あやめちゃんの熱弁にただただ感心していた。
「私、この技は何度か試しているのですが、どうしてもオールが水に負けてしまうんですよね……実際アイリスはこの技を習得する前に、女王カンパニーに代々伝わる鐵のオール・韶凪を扱えるようになってますから、足りないのは筋力なのだと思うのですが……」
「あ、ちなみに韶凪って言うのは、金属でできた重た〜いオールの名前ね」
「ああ、なるほど」
ああずきちゃんの説明でようやく理解できた。要するに、オールで大量の水を押し出す力がその技を再現するためには必要だということだ。
「だったら……」
私は今までの話を聞いて思ったことを口にした。
「オールを水面に着地させるときはオールの面を立てておいて、オールの面がすべて水に入った瞬間に90度回転させて水を押し出せば良いんじゃないかな?そしたら、少なくともさっきみたいに水面に負けて水しぶきが上がる、みたいなことはなくなると思うよ」
私がそう言うと、あやめちゃんは感激したような顔をした。
「……確かにそうですね!ありがとうございます!藍子殿!」
「い、いやあ。そこまで感激されるようなことはしてないよ……?」
ものすごく感激しているあやめちゃんを尻目に、あずきちゃんは
「あんまり真面目に考えなくて大丈夫だからね?」
と私に言ってきた。あやめちゃんは私の言葉を受けて、未だにあーでもないこーでもないとうんうんうなっている。……確かに、真面目に考えなくても良いかもしれない。
「あやめちゃん、帰るよ!」
あずきちゃんはそう言いながら、ゴンドラを滑らせる。私もそれに続く。
「あ、お二人とも、ちょっと待ってください!」
あやめちゃんが急いで私たちの後ろを付いてくる。
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