697: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/15(火) 19:12:58.93 ID:CRgXx40Z0
「……これは酷いにゃ」
別荘に入るなり、強い血の臭いが鼻についた。玄関先には事切れたテルモン兵が横たわり、その少し向こうにはユングヴィの神官兵が腹を剣で貫かれていた。
内部ではかなり激しい戦闘があったみたいだ。数の上ではこちらが有利だったはずだけど、エストラーダの攻撃を食らったのも確かいたはずだから、全体としてはそう戦力は変わらなかった、ということか。
「気を付けな……まだ、いるかもしれない」
デボラさんにボクは頷く。彼女の顔色は青白いままだ。出血は何とか止めたけど、骨までは治せなかったかもしれない。ボクも限界だけど、残党がいたらボクが戦うしかない。
ゴトッ
抜け道がある地下室に向かおうとすると、何かが倒れる音がした。そこに向かうと……
「ヴェルナーさん、かにゃ?」
頭から血を流しながら立ち上がろうとするヴェルナーさんが見えた。その横には、ハンマーと神官兵の死体が転がっている。
「……アヴァロン、は」
「まだにゃ。向こうでボクらの仲間が戦ってるにゃ。ボクらはカルロスを追うにゃ……歩けるにゃ?」
「かたじけない……こいつら、魔法か何かで強化されてやがった……ただの神官兵と見て、侮ってたよ……」
地下室の扉を開けようとしたけど、しっかりと鍵がかかっていて開かない。中に人の気配はなさそうだ。
「デボラさん、銃を」
「魔導銃」を受け取り、できる限りの出力で放つ。轟音と共に、扉は砕けた。
「大丈夫、かい?」
「……もう余力はほぼないにゃ。でも、行かなきゃ」
案の定、カルロスとメディアは逃げた後だった。どのくらい前に逃げたかは分からないけど、急いだ方がいいと本能が言っていた。
その次の瞬間。
ゾワッ
外から、恐ろしいほどの魔力の高まりを感じた。……まずいっ!!
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