600: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/30(月) 22:04:46.38 ID:KnL3hUx3O
カッッ
黄色い光が、一瞬放たれる。
その直後……奴とエストラーダの姿が、消えた!?
「……驚きましたよ」
視界の向こう、20メドほど先に、奴らはいた。転移魔法?こんな一瞬で??
……いや、違う。魔法じゃない。奴は、「グロンド」の力を自分に向けた。それで、緊急回避したわけか!?
アヴァロンは、実に忌々し気な目で俺を見た。
「ただ単に『速く動ける』魔法じゃないですね?もしそうなら、エストラーダの攻撃をほとんど見切っているのはおかしい」
「……詐欺師や奇術師が種を明かすと思うか」
「ごもっとも」
「エストラーダに何をした」
エストラーダは、人形のようにアヴァロンの前に立っている。理性がないのは明白だ。
「先ほどの台詞、そっくりお返ししますよ」
テルモン兵が集まってきた。……攻めるべきか、退くべきか。
左足に体重を乗せる。……「閃」は使えない。
多分2人を殺せるだろうが、周辺への被害は大きい。何より、逃げるだけの体力もなくなる。
「音速剣」の射程でもない。とすれば、もう一度「5倍速」で近づくしかない、か。
行くことを決断した時、アヴァロンが腕時計を一瞥した。そして、「グロンド」が再び光る。
「……まだ、『調整』が不十分なようですね。それに、オーバーバックさんの裏切りで予定が狂いました。もう、退く時間です。
……必ず、貴方を殺し、彼女を取り戻します。予定は、全て忠実に遂行されねばならない」
調整?そう思う間もなく、2人は光の中へ消えた。
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