魔王と魔法使いと失われた記憶
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589: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/25(水) 23:30:07.22 ID:dbHTZ14LO

「……いいわ。でも、条件がある」

「条件ん?」

「ええ。今の私じゃ、15年前にあなたに何があったかは分からない。だから、時間をちょうだい。……そう……1ヶ月ぐらい」

「1ヶ月ぅ?」

私は頷いた。このまま行けば、サンタヴィラまで大体そのぐらいで着く。どちらにせよ、それまでには20年前まで「思い出せる」ようになっていなければならないのだ。

オーバーバックは渋い顔になった。

「……3週間だぁ。そこまで待てねぇ……」

思わず唾を飲み込んだ。

「……いいわ」

「プルミエールッッ!!?」

エリックが叫ぶ。オーバーバックの笑みが深くなった。

「いいぜぇ……!!契約、成立だぁ……」

向こうから、人々の叫び声が聞こえる。統治府から、人が逃げ出しているのだろう。その中に、アヴァロン大司教もいるはずだ。

オーバーバックが、パチンと指を鳴らす。しばらくして、彼の後ろに黒い空間の歪みができた。……転移魔法?

「俺はしばらく消えるがぁ、せっかくだから一つ情報をくれてやるぅ……
俺をやり過ごしたからといって、安心しないことだぁ。『怪物』が、まだ残ってるぜぇ……」

「何っ!!?」

「クックック……俺とやるまで、死んでくれるなよぉ。そして、殺しがいのある獲物になれぇ……」

そう言い残し、オーバーバックは消えた。


それとほぼ同時に……禍々しい気配を、私は感じた。今まで感じたことのないような、おぞましい気配を。




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