586: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/25(水) 23:28:36.88 ID:dbHTZ14LO
「ほぅ??」
これは、賭けだった。正攻法で行っても、オーバーバックを倒せる見込みは多分ない。
私は彼に会ったことがなかったけど、エリックやシェイド君の口振りからこの男の危険性は何となく分かった。
そして、逃げても無駄だ。その上でアヴァロン大司教を捕らえ、かつメディアさんを救うなら……これしかない。
オーバーバックが、契約という言葉を使っていたのが肝要だった。この男の行動原理は、契約だ。まるで傭兵のように動くなら、雇い主を私たちに変えればいい。
問題は、対価だ。金なら、エリックが持つ宝石がある。どれほどの価値があるのか正確には分からないけど、少なくとも1000万ギラ以上はあるはずだ。
それ以外のものを……例えば、私の貞操を求められたら?分からない。ただ、穏やかに済む対価を私は願っていた。
もう一度呼吸を整え、私は口を開く。
「……あなたが、メディアさんを守るという契約を結んでいるのは知ってる。だから、それに上書きする形でこちらも契約を結ぶわ。
……『私たちに危害を加えない』という契約を」
オーバーバックの口の端が上がった。
「対価は何だぁ?俺は金じゃ動かねぇ……女も、名誉も要らねぇ」
「……!?じゃあ、何を対価にあなたはアヴァロン大司教と」
「お前らにそれが払えるとは思えねぇ……」
ズォンッッ!!!
オーバーバックのマナが、一気に膨れ上がった!まずいっ!!……私の賭けは、失敗に終わったんだ。
私は魔導銃を握り直す。こうなったら、できるだけ足掻くしか、ない。エリックの表情の険しさが増した。
ごめんなさい、教授。エリザベート。
そして……ごめんなさい。エリック。
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