508: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/08(日) 22:05:08.52 ID:MGCdRfMlO
オーバーバックは、ニヤァと笑った。
「こいつとはじっくりサシでやりてぇなぁ……支配人さんよぉ、奥の部屋、借りていいか?『親』はあんたがやってくれ」
「え」
「なあに、純粋に勝負を楽しみてぇだけさぁ。ただ、そこで見たり聞いたりしたことは一切口外無用だぁ……」
「はっ、はいっ!!!分かりましたっ!!!」
オーバーバックが俺の方を向いた。余裕以上に、得体の知れなさを感じる。
「じゃあ行くかぁ」
「……はい」
オーバーバックについていくと、豪奢な貴賓室に通された。貴人用の賭場、と言ったところか。
扉が閉まり、オーバーバックが俺の向かいの席につく。そして身を乗り出して話を切り出した。
「さて……猫被るのはやめようぜぇ。何者だぁ?」
「……お前に名乗る意味も義理もない」
「だろうなぁ。だが、薄々見当は付くぜぇ。……エリック・べナビデス」
極力動揺を表に出さないよう、「誰だそいつは」と白を切った。しかしオーバーバックは「やれやれ」と首を振る。
「他の連中なら誤魔化せるだろうがよぉ、俺の目は欺けねぇ。多分、魔法とやらで偽装してるなぁ?
その肌の色と耳からして、まず間違いなく魔族だぁ。そして、無知なガキを騙ってここに来た意味……情報収集だろぉ?」
「……やるか?」
「いや、俺にそのつもりはねぇよぉ。ここで騒ぎ起こしても仕方ねぇしなぁ。俺は『魔王退治』に興味はねぇ」
「だがシェイドを撃ったな」
オーバーバックが肩をすくめた。
「アヴァロンの奴の所にいたらしいんでなぁ。あの小娘に用があるならやめとくのが正解だぜぇ」
「……どういうことだ」
オーバーバックが支配人を見た。
「そこから先は、こいつで決めようじゃねぇかぁ。『テキサス・ホールデム』……ここじゃ『テル・ポルカ』とかいうらしいなぁ」
「……何?」
「勝負に勝つごとに、1つ情報を教えてやるよぉ。負けたら、そこで打ち切りだぁ。ああ、有り金は元手を置いて出ていってもらうぜぇ」
「……いいだろう」
金は惜しくない。勝負に勝てば、こちらが知りたいと思う情報を教えてくれるのだ。むしろ、これは好機……!!
オーバーバックが、眼鏡を外した。……白目??盲人かっ!?
「ああ、気にすんなよぉ。ちゃんと『見えてる』からよぉ……じゃあ、始めるぜぇ?」
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20